弓術部男子団体戦 34年ぶり史上2度目の全日本選手権優勝の裏側

8月14日。台風接近に伴い西日本が荒天の中、グリーンアリーナ神戸で慶大が全日本学生弓道選手権大会の頂点に輝いた。今大会は選手5人が各4本を引き、計20射の的中数で競うトーナメント形式である。今年度の大会は台風の影響により、決勝トーナメント進出校が24チームから16チームに減るなど、異例の状況の中開催された。

予選の突破が困難になった中でも、慶大のコンディションは悪くなかったと、主将の本郷選手(法4)は述べた。「練習では20射18中が平均というレベルまで達していたので、出場するチーム数に関係なく、練習通りに自分たちのやるべきことをやればまず予選は通過できると確信していた。トーナメントでは、2回戦で中大か早大に勝つことができれば、決勝や3位決定戦に行けると思っていた。優勝まではいかなくとも、何か持って帰ることができるだろうという気持ちで臨んだ」

予選を20射15中で通過した慶大は、1・2回戦を順当に勝ち進み、準決勝では広島大相手に20射19中という高的中で圧勝した。

決勝の相手は、3年前の全国選抜大会の決勝でも対決している近畿大。何か特別な思いがあったか尋ねると、相手校のことはあまり考えず、自分たちのことに集中したと語った。「1・2回戦では勝てると思っていたが、準決勝で勝てるとは思っていなかった。決勝では、あと1万回あると思って引いていこうと選手を励ました。手も震え、口も震えながら、どうにかして選手の笑いを取ろうとした」

決勝では、慶大の先陣を切る牧原選手(経3)が慶大の最初の矢を冷静に的の中心に的中させた。本郷選手はその時に勝算があると感じたと語った。牧原選手自身、周りの選手が中って(あたって)いたので、安心感を持って引けたという。その勢いに続く金森選手(経2)、ここまでに1本しか外していない前原選手が決勝でも安定して皆中(4本全てを的中させること)。最後は、慶大の優勝が確定している中、本郷選手が最後の1本を詰めて皆中。拍手に包まれる中、結果は20射18中と、準決勝に続く高的中で慶大が悲願の優勝を勝ち取った。

優勝が決まった直後は、選手全員放心状態に近く、今でもあまり実感が湧いていないという。今回を含め5度の日本一の舞台を経験している本郷選手は、「安堵感」を強く感じたと話す。「自身が主将をやっている、期待されているという中で、今年の全関東や全国選抜では結果を残せていなかった。自分達は何も残せないのではないかという不安の中、今回の優勝で名を残すことができたという安心感が、5回のタイトルの中だと一番強かった」