2009年度一般入学試験が始まった。試験を前に緊張している受験生も多いだろう。そんな受験生には「まだ早い」と言われそうだが、合格から入学までの過ごし方について、塾生からのアドバイスも交えつつ紹介したい。入学手続きや第二外国語の選択を始め、合格後、やるべきことは意外に多い。特に、身近に大学生がいない受験生は参考にしてほしい。(小柳響子・西原舞)

 

合格から入学までの諸注意

合格後は安心のあまり油断し、必要書類の記入や諸手続きを怠りがち。アンケートでは「書類送付がぎりぎりで、証明写真がなくて、あせった」(文3)、「生協に加入しそびれた」(文1)という声が聞かれた。
義塾のほかに、教科書1割引などの特典により学生生活を多面的に支えてくれる組織として、大学生協がある。慶大では、毎年約9割の新入生が生協に加入。今年度まで生協学生委員会が実施していた新入生への個別説明会は来年度より中止されるため、自覚的な手続きがより一層求められる。「利用者は全員加入」を忘れないでほしい。
入学式前にもクラス発表などで大学に来る必要があるが、その際に気を付けてほしいのがカルト団体による勧誘だ。大学のことをまだよく知らない新入生は、サークルやゼミを装った悪質な勧誘に騙されやすいので、注意しよう。
日吉・SFC生ともに入学式の会場となるのは、日吉記念館。入学式には保護者・塾員なども含めて例年約1万4000人が来場する。一方、記念館の収容人数は約7000人。新入生でも着席できず、立ち見や予備会場での参加となる場合がある。
式場は9時ごろ開場の予定。時間に余裕を持って、9時半までには入場してほしい。また新入生の保護者は式場には入れず別会場での参加となるので、気を付けよう。




一人暮らし

大学から一人暮らしを始める受験生も多いだろう。一人暮らしはまず、住まい探しから始まる。

学生の住まいとしては一般物件と学生会館が考えられる。アンケートでは一般物件と回答する塾生が多数派だ。学生会館には、家具を用意しなくてよい、学生専用のためもめごとが少ないといった利点がある一方、外部者の入館制限や門限などの不便な点もある。自分の生活様式により適合した住まいを見つけてほしい。

引っ越し当日から始まるのが食事。「外食は友人と遊びに行く時のみ」(文1)と基本的に毎日自炊するという回答がある一方、「ほぼ外食」(商1)、「朝食は食べない」(経1)という声も。食生活の乱れは生活全般に悪影響を及ぼす。今まで出される料理をただ食べていた人も、これからは食事への気配りが必要だ。

慣れない一人暮らしで、時には実家が恋しくなるかもしれない。「家族と毎日電話」(総1)、「月に1度帰省」(法2)するほど強いホームシックになった塾生もいる。「時間が解決」(環1)してくれるのを待つのもいいが、やはり「サークルなど人と関われる場所を持つ」(文1)ことが重要だ。

 

第二外国語

今後の大学生活を左右するといっても過言ではない第二外国語。多くの学部で必修であり、クラス分けにも影響する。イメージや先入観が先行しがちな第二外国語だが、慎重に選びたい。

その言語を選択した理由としては、「街並み、料理などに興味があったから」(イタリア語・文3)など、言語が使われる国自体への関心が多くみられた。一方、「産業が発展しているから、将来役立ちそう」(中国語・経3)と有用性を挙げる回答も目立った。
実際、学んでみての印象は、フランス語、ドイツ語など、一般的に難しいとされる言語では、やはり「覚えるべきことが多い」(ドイツ語・理1)と厳しさがうかがえる。だが、学びやすいとされる言語でも、「発音が難しい」(中国語・経3)など楽なことばかりではない。
どの言語を選ぶにしても、動機をはっきりさせることがやりがいにつながる。自分が専攻したい学問と関連する言語を調べてみるのも良いだろう。




入学までに準備すべきもの

アンケート結果から、パソコン、第二外国語対応の電子辞書の二点は欠かせないものであることがわかる。また、一人暮らしの塾生から、「インターネット回線を引いておけばよかった」(文3)という声が多く寄せられた。慶大独自の電子サービスもあるので、ネット環境の整備も忘れずに行いたい。他には、衣服、手帳、大きめのカバンなどの回答も目立った。

入学すると忙しく、買いものする暇がなくなる。余裕のあるうちに、必要なものは買い揃えてしまおう。

 

 

 

 

友達づくり


受験生の中には、慶大を志望する友人が少ない人もいるだろう。
入学前に、新入生の不安を取り除こうと、生協学生委員会がウェルカムパーティ(以下、ウェルパ)というイベントを主催している。このイベントでは、ゲームなどを通し、新入生同士の交流が深められる。
ウェルパに関しては、「友達ができたおかげで大学生活に緊張せずに臨めた」(文1)という意見がある一方、「入学後も付き合っていく友達をつくるのは難しい」(理1)など賛否両論が寄せられた。
初めての友人がウェルパでできる人も多数いる。入学前に人脈を広げたい人は足を運んでみるのも良いだろう。
また、現在仲の良い友人は、サークルや部活にいると過半数の人が答えた。慶大には非常に多くの学生団体がある。ぜひ、自分の居場所を見つけてほしい。

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受験生の皆さんが次に本紙を開くのはいつだろう。もし、縁あり、慶大に入学したら、この記事をもう一度読んでほしい。少しでも大学に対する不安や緊張が軽減されるはずだ。
皆さんが充実した大学生活を迎えることができるよう、祈っている。