
6月14日は「世界献血者デー」。献血の重要性を啓蒙し、献血協力者への感謝に感謝する日とされている。そこで今回は2人の記者に、全血献血・成分献血の2種類の献血を体験してもらった。
〈全血献血〉
全血献血とは、赤血球・白血球・血小板・血漿といった血液の全ての成分を採取する献血方法である。献血の種類には200mLと400mLの2つがあり、特に400mL献血は医療機関からの要請が多く、より多くの血液を提供できる点が特徴だ。
◯全血献血の条件
全血献血には、成分献血と同様に一定の条件がある。共通の基準として、最高血圧90mmHg以上180mmHg未満、最低血圧50mmHg以上110mmHg未満、脈拍40〜100回/分、体温37.5度未満であることが求められる。献血量によって、さらに条件が異なる。200mL献血は男女ともに16歳〜69歳が対象で、男性は体重45kg以上、女性は40kg以上が必要。また、血色素量が男性で12.5g/dL以上、女性で12.0g/dL以上であれば献血が可能となる。一方、400mL献血は男性が17歳〜69歳、女性が18歳〜69歳と年齢制限がやや異なり、体重や血色素量の基準は200mLと同様である。このほか、年間の総採血量や回数の上限も定められているため、詳しくは日本赤十字社のホームページを確認してほしい。
◯採血の流れ
さて、私は今回200mLの全血献血を体験してきた。献血ルームに入ると、まず問診票を記入する。内容は、「朝食をとった時間」「服用中の薬の有無」「直近3日以内に出血を伴う歯科治療を受けたか」などだ。記入後は血圧と脈拍の測定に移り、基準を満たしていれば献血可能と判断される。献血可能とわかると、スポーツドリンクを渡され、採血前に半分ほど飲み、採血中も意識的に水分を摂るように指示される。その後、採血室に案内され、まず指先に小さな針を刺して少量の血液を採取し、血液型や赤血球・白血球の数を検査する。このときの針の痛みは、献血時の痛みよりも強く感じた。検査が終わると、自分の血液型が書かれたカードが渡され、これを採血時に看護師に渡すよう指示される。ベッドに案内され、いよいよ献血が始まる。針が刺される際の痛みはほとんどなく、採血が開始された。看護師からは、200mL献血は約10分で終了すること、また貧血防止のため足を軽く動かして血行を促す運動を行うよう説明された。10分後、無事に採血が完了した。
◯「飲み放題」「漫画読み放題」の快適な献血ルーム
採血後は30分間、献血ルーム内で安静に過ごすよう指示される。自販機の飲み物は無料で飲み放題、漫画も多数用意されており、私が訪れた献血ルームではハーゲンダッツのアイスクリームも提供されていた。くつろぎながら過ごすうちに、あっという間に時間が過ぎた。30分後、退出許可が出ると受付に声をかけて帰宅となる。帰り際にはモバイルバッテリーのプレゼントももらい、ちょっと得した気分だった。
献血というと、どこかハードルが高いように思われがちだが、実際にはとても快適で、「またやりたい」と思える体験だった。
(成沢緑恋)
〈成分献血〉
血液は個体成分である血球(赤血球、白血球、血小板)と液体成分である血漿に分かれており、献血によって抜き取られた際の回復期間は成分ごとに異なる。そこで、血液のうち回復期間の短い成分のみを抜き取り残りを体内に戻すことで、より短いスパンでの献血を可能とする方法が成分献血だ。血球の一種である血小板と血漿がその対象となっており、400ml全血での献血間隔は3~4ヶ月空けなければいけないのに対し、成分献血では成分にもよるが1~2週間程の間隔で献血が可能となる。
◯成分献血の条件
献血をする際の条件は基本的には全血の場合と変わらず、可能体重も200ml全血と同じ男性45㎏、女性40㎏以上である。ただし先述の通り間隔の条件が異なる点に加え、年齢条件において下限が血漿血小板献血ともに18歳、上限が血小板献血の女性のみ54歳と全血と異なっており、その他血液中の各成分含有量等いくつかの条件で異なる点があることには注意が必要である。
◯採血の流れ
今回訪れたのは湘南藤沢キャンパスの最寄り駅である湘南台駅から小田急江ノ島線快速急行で一駅、藤沢駅の駅前にある「クロスウェーブ湘南藤沢献血ルーム」だ。成分献血は回転率が悪く、希望者が多いと献血ができない可能性もあるため、今回は事前に「ラブラッド」アプリで献血の予約をして訪れた。ルームに訪れたら、まずは受付で本人確認や献血する上での条件を満たしているかをチェックする。受付が終わるとセルフでの血圧測定と医師による問診を受け、その後検査採血に移る。成分献血は全血よりも検査項目が多く必要な血液量も多くなるため、検査採血は従来通りの注射器で行う。
検査採血後は水分・塩分補給を行いながら待機する。無料ドリンクバーで水分補給のジュースや、塩分補給のみそ汁を飲む。長時間に及ぶ採血に備え、Wi-Fi接続やトイレを済ませるのも忘れない。受付で借りた充電器でスマホを充電することもできた。そして本採血。採血椅子に座り腕に針を刺されるのだが、針の太さの割に痛みは少なかった。一度針が刺されたら、後は1時間ほど椅子に座って、備え付けのテレビを見たりスマホをいじったりしているだけで採血は終わった。
採血が終わるとコインが渡され、ルーム内のセブンティーンアイス自販機で好きなアイスと引き換えることができた。採血後はそのアイスを食べたり、失った水分をドリンクバーで補給したりしながら、血液を失ったことによる失神などに備えて10分以上ルームで待機する。こうして計2時間弱ほどで献血は一通り終わった。