2014年度慶大学部卒業者・修士修了者8082人のうち就職者は5554人、大学院および学部進学者は1317人であることが学生部就職・進路支援担当から発表された。データは全体の卒業修了生8082人のうち7791人から報告され、5554人が就職した。(川村匠)


昨年度慶大学部卒業者・修士修了者の就職先上位20社。平成27年3月31日現在。原則として本人からの進路届による。学生部調べ。表中の()内は女子で内数。
昨年度慶大学部卒業者・修士修了者の就職先上位20社。平成27年3月31日現在。原則として本人からの進路届による。学生部調べ。表中の()内は女子で内数。

2014年度の就職率は71・3%であり、2013年度の70・1%から1・2ポイント上昇した。一方、大学院・他学部への進学率は16・9%であり、こちらは2013年度の17・9%と比較すると1ポイント低下している。就職・進学以外のデータには大きな変化はないため、2014年度卒の学生はわずかに就職する割合が増える結果となった。

就職者の業種別割合はは2013年度から変動せず、金融・保険業が1位、2位に製造業、3位に情報通信業が続いた(それぞれ23・9%、21・5%、16・1%)。2013年度と比べて金融・保険業は0・9ポイント、製造業は0・3ポイント上昇したのに対し、情報通信業は0・9ポイント下落した。2013年度では2012年度まで1位につけていた製造業を金融業が追い抜き、2年連続で金融業への就職者割合は増加した。

就職企業の上位20社を見ると、1位がみずほフィナンシャルグループ、2位が三菱東京UFJ銀行、3位が三井住友銀行とトップ3位をメガバンクが独占、こちらも2013年度と同じ順番を維持している。

また3人以上が就職した企業は合計で312社、人数は3122人であった。2013年度の2980人から142人増加した。

学生部就職・進路支援担当の佐藤吾郎氏は、2014年度卒業生の就職状況について「2008年のリーマン・ショックによる影響から徐々に就職状況は回復していて、リーマン・ショック以前の水準に近くなっている」と分析した。

今年度より就職活動の開始時期が12月からではなく3月からに後ろ倒しされたことで、就活生は前例のない就職活動に臨むことを強いられている。これに対し佐藤氏は「先が見えないこの状況だからこそ自分の頭で考えるという作業が重要である。情報収集、仮説の設定とその実証といった知的なプロセスで就職活動に挑んでほしい」と語った。来年度以降に就職活動を控えている学生に対しては「企業が学生に求める協調性やコミュニケーション能力といったものは一朝一夕で得られるものではない。学問や課外活動をバランスよく行うことでそういった力を養ってほしい」とアドバイスしている。

慶大の就職・進路支援担当ではESの指導や模擬面接といった個別面談、各キャンパスで合計150回ほどの就職活動についてのガイダンスや業界研究、OB・OGとのコンタクト先やインターンの情報提供を行っており、塾生は希望すればこれらのサポートを受けることができる。