慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の夏秋AO入試。筆者が2024年に挑戦したこの選抜方式は、一般入試とは全く異なり、受験生一人ひとりの個性と情熱を問う入試であった。
本記事では、筆者が合格を勝ち取るまでの道のりを振り返る。
1次試験(書類審査)対策について
SFCのAO入試では、「SFCで何を学び、何を成したいのか」という自身のテーマや志を明確に提示することが求められる。筆者のテーマはOOHメディア(Out of Home media、家庭外で接触する看板やデジタルサイネージなど)を使った言論空間のデザインであった。
志望理由書では、テーマに興味を持ったきっかけや現状の課題の分析、解決策を実行するためにSFCで学ばなければならない理由などを2000字で記述した。SFCには様々な分野に力点を置く教授がいらっしゃるため、専門外の教授にもクリアに伝わる志望理由書になるよう心がけた。
自由記述という自己アピールポスターのような書類では、ただ見栄えの良い実績や受賞歴を並べるだけではなく、その結果に至るまでの困難や試行錯誤を図を用いながらわかりやすく伝えることを意識した。また、予備校が過去の受験生データを沢山持っていたため、それを基に合格しやすい受験生の特徴を分析し、自身の書類をよりブラッシュアップさせることができた。
なお、筆者はとあるコンテストで入賞したため、1次試験が免除されていた。SFCは小泉信三賞や日本数学オリンピック、日本情報オリンピック、全国高校生マイプロジェクトアワードなど20以上のコンテストを免除対象に指定している。選考免除とはいえ志望理由書などの提出は必要だが、最低限の内容で済ませられかなり楽になるので、出願まで猶予がある高1・高2生は是非挑戦してみてほしい。
2次試験(面接)対策について
2次試験に向けた準備は、以下の3つの柱で進めた。
まず、知識のインプットである。テーマに関する知識が深ければ深いほど本気度の証明になると考えたため、先行研究のリサーチやデータ探し、専門家への取材を重ね、他のどの高校生よりも詳しくなることを目指した。
次に、想定問答集の作成である。個人的にはこれが最も効果的だったと感じている。研究の意義や実現可能性、なぜSFCでなければならないのかなど、反論されそうな点を全て潰すつもりで合計138問を用意した。出願書類を基に自分で考えた質問に加え、過去の先輩方への質問例、予備校の模擬面接で出た質問などを基に作成した。
最後に、実践練習である。学校や予備校の先生にあえて厳しい面接官役をお願いしたことで、圧迫面接の雰囲気にも慣れることができた。また、同じ志望校の生徒同士でオンラインミーティングを使って練習を行うこともあった。
いよいよ、2次試験本番
面接は30分間、3人の面接官によって行われた。
冒頭、「SFCで何をやりたいか」を5分で説明するよう求められた。その後面接官からなされた質問の多くは、冒頭の5分で提示したプロジェクトの必要性や実現可能性に関するものだった。また、10年後のビジョンや、プロジェクトに関連する周辺分野について知識や意見を求められる質問もあった。併願していた法学部の対策として学んだ知識を偶然使うこともできたため、テーマに直接関わる知識以外でも引き出しを多く持つことが重要だと感じた。
入室してすぐの教授達はかなり冷ややかな態度に見えたが、途中から深く頷いたり、教授自身の研究内容や関心分野と絡めた質問などもしてくださるようになり手応えを感じたのを覚えている。
受験生の皆さんへ
これからSFCを受験したいと思っている皆さんへのアドバイスは3点ある。
第1に、徹底的に準備することである。たとえコミュニケーションが苦手でも、想定問答を作り込むことが自信と落ち着きにつながる。第2に、自分のテーマについて誰よりも詳しくなることである。関連分野の知識も貪欲に吸収すべきである。第3に、未来のビジョンを具体的に語れるようにすることである。
自分の「やりたいこと」を明確に持ち、自信を持って挑戦してほしい。
(高橋奈々)