《慶大文学部専攻を知る》社会学専攻・人間科学専攻 「社学」「人科」どう違う?

文学部の希望専攻申し込みが、12月中旬に締め切りを迎える。文学部に設置された専攻は全部で17に分かれる。塾生新聞は、全17専攻それぞれに所属する学生にアンケート調査を行った。

 

今回は、社会学専攻、人間科学専攻を紐解いていく。扱う分野が近いことから、違いがよくわからない、どちらに行けばいいかわからないと悩む学生も多いことだろう。学生の生の声を、後悔のない専攻選択をする一助としてほしい。

 

社会学専攻

〇社会学専攻を選んだ理由は?

一年生でとっていた一般教養の社会学の授業が楽しかったこと、受験生の時に勉強していた小論文の内容が社会学寄りで興味が湧いたこと、あとは文学部に入ったものの語学にも文学にも関心が無かったので……。(社会学専攻2年)

興味のある学問分野がなかったので、社会学なら無難に幅広く学べそうだと考えたから。(社会学専攻2年)

もともと社会の構造や社会現象の要因に興味があった。社会学専攻なら自分が学びたいことが学べそうだと思ったのと、多様な視点から社会を見つめる力が身に付くと考えたから。(社会学専攻3年)

 

〇他に迷った専攻はあった?社会学専攻にした決め手は?

史学系や民考(民族学考古学)、人科(人間科学)と迷っていたが、それぞれに所属している教授の専門分野を比べて、一番興味が持てそうな分野が多かった社会学を志望した。(社会学専攻2年)

民族学考古学専攻と迷っていた。考古学にも興味があって、実際に遺跡を見に行ったり発掘もできたりすると聞いていたので、自分の中では魅力的だった。 ただ、「大学でどちらを学びたいか」を考えたときに社会学が勝ったので、社会学専攻を選んだ。(社会学専攻3年)

 

〇人間科学専攻との違いは? 

社学は理論、人科は実践というイメージ。人科の友人に話を聞くと、社学(社会学)の方が理論を学ぶデスクワークが多くて、人科は実践的なフィールドワークや調査が多めな感じがした。緩さは社学>>>人科。社会学は古い先生が多く(?) 、必修でも出席をとらないことがよくある。一方で、人科は毎回出席をとっているらしく「授業を(バレずに)切る」ということができないと友人から聞いた。(社会学専攻2年)

入れるゼミ。講義は他専攻でも受けることができるので、一番大きな違いはゼミだと思う。興味のあるゼミがある方を選ぶべき。(社会学専攻2年)

人科のほうが科学的な手法を用い、理論的な話が多そう。(社会学専攻2年)

社会学は「社会全体を体系的に捉え直す学問」、人間科学は「文系的な観点から見る心理学」と説明を受けたので、そもそも扱っている対象に違いがあると思う。(社会学専攻3年)

個人的なイメージだが、社会学専攻は社会構造や規範などに焦点を当てているのに対して、人間科学専攻は人間個人の心理や思考など”人間そのもの”に焦点を当てているのかなと思う。(社会学専攻3年)

 

〇必修の授業ではどんなことをしているの?

社会学専攻必修「社会心理学概論」のテキスト(2022年度)

社会学の歴史や理論、文化人類学の歴史を学んでいる。(社会学専攻2年)

概論の授業では、社会学、文化人類学、社会心理学がどのような学問なのかを学んでいる。また、社会学の歴史や調査方法など、ゼミに入ったときに必要になると思われる知識の習得も行っている。(社会学専攻2年)

社会心理学概論では社会心理学の構造を再現したシミュレーションゲーム、文化人類学概論では教授の専門地域でのフィールドワークの話を聞く。社会学概論はオムニバス形式で、家族論や教育論など様々なテーマの講義を受けている。(社会学専攻2年)

主に過去の先輩方の卒業論文を題材に研究会の専門学問についてグループに分かれてディスカッションしながら理解を深める。その他まちづくりコンテストに参加したり、ビブリオバトル(本の紹介面白い人グランプリみたいな)を行ったりする。(社会学専攻3年)

研究会に所属していないので、特に決まったことはしていない。(社会学専攻3年)

 

〇社会学専攻で面白いことは?

社会学には由緒ある歴史や考え方があって、一見自分とはかけ離れたものに思えるが、よくよく噛み砕いてみると、結構身近なもの(日常生活や趣味など)に当てはまったりするので、考えやすい。(社会学専攻2年)

医療から都市、宗教など幅広く学ぶことができる。(社会学専攻2年)

日常の人々の行動、異国文化との違い、社会が築かれてきた歴史など本当に様々な観点から社会という実体を持たない存在について考えることができる。社会心理学では人間あるあるは全て現象として名前がついていることを知れるので面白い!(社会学専攻3年)

講義の種類が多岐にわたるところ。社会学専攻の講義は、社会学・社会心理学・文化社会学の3分野に分けられますが、社会問題・人口学・心理学などはもちろん、アイドル・ファッション・アニメなどを扱うユニークな講義もある。社会学は扱う領域がとても幅広い学問なので、講義ごとに全く違う面白さがあって、講義の種類で退屈することはないと思う。(社会学専攻3年)

 

〇社会学専攻で大変なことは?

テストは無く、ほぼレポート課題なので、期限を常に気にしていないと、出しそびれて成績に大きく響く(経験者は語る)。(社会学専攻2年)

社会学は、当たり前を疑うことで社会の問題点などを見つけることはできるが、その具体的な解決策は提示されないため悶々とすることになる。(社会学専攻2年)

2年生の時に必修が多すぎてきつい(社会学概論・社会心理学概論・文化社会学概論の各学期6単位ずつ)。単位を取るのは難しくはないものの、「留年するかもしれない」という精神的負担に参っていた。(社会学専攻3年)

2つあると思います。1つ目は「専門にする分野を決めるのが難しいところ」。社会学は扱う領域がとても広いので、誤解を恐れずに言えばなんでもできてしまう。だからこそ、人によっては「この領域でこんなことを扱いたい」というモノを見つけるのが難しいかもしれない。2つ目は「何をやっているか分かりづらいところ」。”社会学専攻あるある”だが、「何を学んでいるの?」と聞かれると、上手く答えられない。自分でも何を学んでいるのか分からなくなるときがあるので、興味関心の軸をしっかり持って履修を組むことが大切だと思う。(社会学専攻3年)

 

〇社会学専攻に向いているのはどんな学生だと思う?

日々当たり前のことに問いを立てて、分析することが苦では無い人!難しい理論を身近な現象に置き換えるのが得意な人!テストが苦手な人!(社会学専攻2年)

まだ学びたいことが決まらない人や身の回りの問題に関心がある人。(社会学専攻2年)

好奇心旺盛で興味の幅が広い人。良くも悪くも扱う範囲が広いため。また、文学部はどこもそうだが例に漏れずレポートがとても多く、さらに必修で統計ソフトも扱わなければいけないので真面目な人が向いていると思う……。(社会学専攻3年)

社会に興味がある人はもちろん、「ユニークな卒論を書きたい」という人や、「何をしたいかまだ分からない……」という人も向いていると思う。私の周りにも、アイドルで卒論を書いている人やとりあえず社会学専攻に来たという人もいる。「社会学」と聞いて、少しでも興味が湧くようであれば、ぜひ選択肢の1つにしてほしい。(社会学専攻3年)

 

 

人間科学専攻

〇人間科学専攻を選んだ理由は?

社会学や社会心理学に興味があったから。(人間科学専攻2年)

社学に行くにはGPAが心許なかったが、人間科学専攻でも自分が興味ある文化人類学や社会学を専門にできそうだったから。(人間科学専攻2年)

学際的な学びを求めていたため。(人間科学専攻2年)

大学入学前から臨床心理学をやりたいとぼんやり思っていたが、慶應の心理学専攻は実験心理学が中心だったため、私のやりたいこととは乖離があると感じた。臨床心理学が人間科学の授業にあったこと、また入学後に興味を持った家族社会学、社会福祉が人間科学の領域だったことから、人間科学専攻に決めた。(人間科学専攻3年)

 

〇他に迷った専攻はあった?人間科学専攻にした決め手は?

都市社会学に興味があったので社学も一応迷った。また文化人類学への興味が元はといえばレヴィ・ストロースの業績からくるものなので、倫理学哲学で構造主義などのフランス現代思想をやるか迷った。けれども、社会学、文化人類学、心理学などを学際的に学べる人科のカリキュラムに惹かれたので。(人間科学専攻2年)

社学と迷っていたが、先輩に「社学は社会現象、人科は人間を対象にしているイメージ」と聞いて、私が興味あるのは後者だなと思った。(人間科学専攻2年)

社会学専攻と教育学専攻で悩んでいた。人間科学専攻は、社会科学に関する学問を横断的に学べ、他専攻の科目も多くとれるため、最終的に人間科学専攻に決めた。(人間科学専攻2年)

 

〇社会学専攻との違いは? 

人科は幅広いイメージ。人間科学特殊という科目や諸領域という必修科目のことを考えると、様々な分野のことを基礎からしっかり学び、自分でやりたいように選択できる自由があるように思える。(人間科学専攻2年)

やっぱり「人とは」に重きを置いている点。(人間科学専攻2年)

社学とは統計やフィールドワークなど研究方法が異なるように思う。また、人間科学専攻は、社会学だけでなく、心理学なども関連してくるという違いがある。(人間科学専攻2年)

社学はどのゼミや授業においても、社会問題に注目することは共通なのかな?と思う。定かではないですが。その点、心理学から社会学まで幅広く扱う人科と比べると、学ぶ分野がしっかり定まっている。(人間科学専攻3年)

社会学専攻は社会全体の流れや社会が成り立ってきた歴史を中心に研究するイメージがある。一方で人間科学はより今の人間社会行動のそのものを科学的に分析する、理系と文系の融合の要素が大きいと感じる。調査方法の大きな2つである質的調査(インタビューとか)と量的調査(とにかくデータをたくさん集める)のを両方できるのは人科の大きな特徴かなと思う!(人間科学専攻3年)

 

〇必修の授業ではどんなことをしているの?

人間科学専攻必修「人間科学基礎」のテキスト(2022年度)

人間科学の4領域それぞれについて知ること、また研究方法の会得。(人間科学専攻2年)

社会学研究などにおいて基本的な考え方を身につける人間科学基礎、研究の実践方法を身につける研究法基礎、他に社会学、文化人類学、心理学、社会心理学の基礎を学ぶ諸領域Ⅰ〜Ⅳ。(人間科学専攻2年)

人間科学における研究法について学んでいる。実際に人々の行動を観察したり、インタビューを行ったりした。(人間科学専攻2年)

家族社会学、社会福祉を主に学んでいる。特にひとり親家庭、貧困など家庭環境と教育達成の影響を中心とした世代間格差や未婚者の増加とその背景要因などを文献を読みながら研究している。(人間科学専攻3年)

ゼミでは、心理学の過去の論文を読み込み、統計や考察が本当に正しく行われているか研究している。実は今までの心理学では、人間が予知能力を持っているとか、昔の音楽を聴くと歳を取ったように感じるなど、論理的には説明がつかなそうな研究が認められてきている。データを色々といじったり、考察を何度もし直したりすることで仮説の立証を目指すという今までの心理学のやり方は、本当に正しい理論を導けるのか、研究している。(人間科学専攻3年)

 

〇人間科学専攻で面白いことは?

どんなことでも、興味がある分野を学べること。人間科学特殊という名前の授業がたくさんあり、幅広い内容を学べる。(人間科学専攻3年)

諸領域科目。半期で本来なら概論ⅠとⅡとして一年間かけてやるはずの内容を履修するので、幅広い学習が可能。諸領域科目を受講すると専攻でやれる内容がざっと抑えられるので、選択必須など自分のやりたいことに授業コマを多く割けられる。(人間科学専攻2年)

身近で興味の持てることについて学べるので面白い!例えば、人はどのように他者を認識するのかを学べる。また、人工中絶の問題などの問題についても深く議論することができる。(人間科学専攻2年)

文学部にいながら、理系の分野も文系もできること。統計を文学部でできるのは少ないと思う。社会課題は理系・文系で分断されることなく、どちらの力もあってこそ解決する糸口を見つけられると実感することもできた。ふわっとした概念ではなく、社会に還元できる研究をできることを興味深く感じている。また、自分のこれまで生きてきた中で感じた微妙な違和感や出来事、友人関係を基として研究できるのも面白い。(人間科学専攻3年)

 

〇人間科学専攻で大変なことは?

対面授業が他専攻と比べ多い。月曜2限を落としたら即留年なのでプレッシャーが大きい。(人間科学専攻2年)

統計。2年時の必修科目の中にも半期だけ統計の授業がある。(人間科学専攻3年)

統計。私は大学受験で一応数学を利用しているが、またそれとは違う難しさを感じている。私のゼミではSPSSを用いた統計を行うが、回帰分析や2項ロジットなど今まで聞いたこともなかった用語に苦戦する毎日……。(人間科学専攻3年)

 

〇人間科学専攻に向いているのはどんな学生だと思う?

色んなことに興味のある人!人間科学専攻では、社会学、社会心理学、心理学、文化人類学を主として、社会科学に関する学問を広く学べる。なので、まだやりたいことが決まっていない人も学びたいことが見えてくるはず!(人間科学専攻2年)

人間関係そのものに興味がある人、時代とともに変化していく人間社会に興味が持てる人。特に今まで自分が辿ってきた人生や環境に興味を持てる人。私のゼミの話になってしまうが、慶應大学に進学できている時点で恵まれた環境にいた人が多いと思うので、どのような要因が高学歴獲得や将来選択に寄与しているのか興味を持ち、家庭環境や経済環境に恵まれない人にいつどのような施策を行えば効果的かと積極的に考えられる人は楽しいと思う。(人間科学専攻3年)

色々な分野に興味がある人、また客観的・分析的に研究を進めていきたい人。(人間科学専攻3年)

人間そのものに興味がある人。社会が人間の集合体であることを意識して社会学をやりたい人にはこの上ない専攻だと思う。(人間科学専攻2年)

 

(三尾真子)