【塾員インタビュー】クリエーティブディレクター 佐々木 宏 さん

■ 佐々木 宏(ささき ひろし) 1954年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。77年電通入社。新聞雑誌局を経て、28歳のときクリエーティブ局へ転局。コピーライター、クリエーティブ局長クリエイティブディレクターを経て、2003年7月「シンガタ」設立。代表作品にはJR東海 『そうだ、京都 行こう。』Softbank、SUNTORY 缶コーヒーBOSS、TOYOTA ReBORNキャンペーン、FUJIFILMなど多数ある。
■ 佐々木 宏(ささき ひろし)
1954年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。77年電通入社。新聞雑誌局を経て、28歳のときクリエーティブ局へ転局。コピーライター、クリエーティブ局長クリエイティブディレクターを経て、2003年7月「シンガタ」設立。代表作品にはJR東海 『そうだ、京都 行こう。』Softbank、SUNTORY 缶コーヒーBOSS、TOYOTA ReBORNキャンペーン、FUJIFILMなど多数ある。

楽しい!を広告に

面白い、楽しいという感覚につい人は惹きつけられてしまう。日々の生活のなかで「見せられている」と私たちが思いがちなもの、テレビCMなどの広告までもがそのような魅力に溢れるものだったら、どうだろうか。この夢を叶えるために約40年間、広告の現場に立ち続けている塾員がいる。クリエーティブディレクター、佐々木宏さんだ。

「広告、とくにテレビCMは、一方的に見せられるという点で無粋な印象を与えることが多い。さらに商品の特長を並び立てただけでは、単なる企業のエゴになってしまうし、そう思われたら企業も損をする」。

そのような状況に陥らないために、自身が大切にしていることは何か。それは、企業が伝えたい情報を盛り込みながら、見る人に共感されて好かれて、その広告を作る企業の態度が愛されるようなものを作るという思いだ。「広告そのものも楽しんでもらえるようなものがいいな、と思う。それが難しいけれど、面白いところ」。

例えばトヨタの新車種を宣伝するにあたり、可愛らしいデザインと共に自立した女性に相応しい高機能性をアピールするため、ドラえもんのしずかちゃんを登場させた。女優の水川あさみが演じる、アイドル的存在でありながらしっかり者の実写版しずかちゃんは、たしかに商品の魅力を体現しているように感じる。

発案者として相棒のような存在
発案者として相棒のような存在

広告の制作に関しては、アイデアが物をいう。良いアイデアを出すために佐々木さんが心掛けているのは、面倒くさがらないで、いつもちょっと楽しくしようと思うことだ。お金や時間の制限があったとしても、「じゃあこれしかできない」ではなく、「でもその中でいかに面白くできるか」と考えるのが大切だという。「たとえば今みんな300円しか持っていないのに昼食を取らなきゃいけないなら、メニューが立ち食い蕎麦になっても仕方ない。でも、みんなでコンビニに繰り出して300円以内で好きなものを何でも買ってきて分け合ったら、バイキングみたいで楽しいじゃないですか」。これが佐々木さん流の、発想の転換だ。

しかし、商品の宣伝と面白いことだけが広告ではない。今後の広告の可能性について、「広く告げると書くだけあって、広告は公共のもの。企業を応援しながら、見ている人の気持ちをポジティブにしようというメッセージも込めていけたら、広告はもっと強く、良くなっていくと思いたい」と語る。

夢があり、夢を与える広告業界。憧れる塾生も多いだろう。「就職先としては最高。すごく楽しい。やりがいがあるし、様々な企業のトップとも交流できる。今後はコミュニケーションの変容と共に、広告も面白く変わっていってほしいと思っている。少しでも広告に興味があるなら、目指してほしい」と塾生にメッセージを送る。また、理屈をこねるより思い付くこと、制約から解き放たれて、むしろそれを楽しむくらいの気概でいること、そして、人を楽しませるための工夫を常にしていくことを心掛けてほしいという。

広告を見れば楽しく、ポジティブな気持ちになれる―そんな幸せな社会は、一人の塾員によって実現しようとしている。 (成田沙季)