2008年に創立150年を迎えた慶應義塾は、その記念事業の一つとして、三田キャンパス南校舎の建て替えを行う。「未来へ情報発信し、環境と共存するキャンパスへ」とし、未来先導館(仮称)を含む新校舎となる。また、それに伴い、正門向かい側に南別館を建設。建て替え工事期間中に代替教室として利用した後も、研究用途など多目的に利用される。      (入澤綾子)

三田キャンパス正門前に立つ南別館
三田キャンパス正門前に立つ南別館

南校舎の建て替えに伴い、三田キャンパス正門の向かい側に建設された南別館は、昨年5月に着工、今月完成し、今年度の授業より使用が開始される。
多目的な授業形態に対応可能なフレキシビリティを持った構造で、新しく建設される南館と共通性を持たせた外観デザインが特徴。地上7階、延べ床面積3900平方メートル、全23教室を収容している。
南別館は、南校舎建て替え工事期間中の代替教室として使われる。建て替え工事完了後は、研究用途など、多目的に利用される予定だ。
現在の南校舎は、今年6月から解体が開始される。新しい南校舎は地上7階、地下1階の8階建て、述べ床面積1万5000平方メートル。11月に着工され、2011年3月に竣工される予定となっている。
南校舎の建て替えによって、教室不足の解消、授業形態に適合した教室環境の整備、学事部門や学生対応の集約化など、大学内における環境の改善を目指す。また、食堂やラウンジ、講演会などに利用できる多目的ホールなど、塾生・教職員・塾員に開かれた交流の場も設けられる。
新設される南校舎のゲートからは交流の庭・思索の庭など、キャンパスを活性化させるゾーンへ導き、演説館などの歴史的建造物への視覚的なつながりも重視する。未来と過去、キャンパスと社会を結ぶ拠点となる計画。
工事期間中は、南別館の23教室に加え、ウエストスクエア仮設教室の1教室、第1校舎4階の改装スペースに設置される11教室が、代替教室として確保される。
また、正門から中庭へ南校舎を抜けていく階段が通行できなくなるため、キャンパスから南別館へのアクセスは、図書館新館東側から正門への構内道路を歩行者優先で使用する。西校舎ウエストスクエア西側の中等側門を授業期間中は開放するほか、キャンパス西側の公道を通るルートも確保する予定。
創立150年記事業として、日吉キャンパスでは昨年8月、協生館が、続いて先月には新教育棟が竣工。信濃町キャンパスでは昨年1月に臨床研究棟が完成するなど、次々と施設の整備が行われている。今後は、日吉キャンパスで蝮谷体育館(仮称)の建設や日吉記念館の建て替えなど、各キャンパスで新たな事業が予定されている。