次期塾長に清家篤商学部長
会見で記者の質問に答える清家氏

メリハリある資源配分を明言

慶應義塾の次期塾長に清家篤(せいけあつし)商学部長が選出されたことが4月24日三田キャンパス東館での記者会見で明らかとなった。清家氏は抱負として理工・医療系の研究を重視したメリハリのある資源配分、自らの塾長任期を最長2期までに限ることなどを掲げた。清家氏の塾長としての任期は今月28日から2013年5月27日まで。                        (小柳響子)

今回の次期塾長選出は今月27日に安西祐一郎塾長の任期が終了することに伴うもの。安西塾長は3期目の続投を目指していたが、4月19日の予備選挙で候補者3人に選ばれなかったことが分かっている。
記者会見では安西塾長が次期塾長の清家氏を紹介し、2氏が握手した後、清家氏が挨拶した。清家氏は「実学の精神を最も重視したい。塾生には自分で考える力、仮説を立て実証する能力を身に付けてほしい」と話した。
抱負として清家氏はメリハリのある資源配分を挙げた。「大学間競争が激化する中、理工・医療系の研究には迅速で集中的な資源配分が必要。一方、人文・社会科学系の研究には少額でも長期的な資源配分をすべき」と清家氏は説明している。
自らの塾長任期について清家氏は「円滑な継承のために塾長の任期は原則1期、最長でも2期までに限るのが望ましい」と発言。塾長の任期を規定する現行の規約は変更しない方針だ。
今後の課題として清家氏は研究・医療の質向上のため教職員個人の自発的努力を支援する必要性を強調。加えて安西塾長が掲げてきたオープンでグローバルな大学の理念を受け継ぎ、創立150年記念事業を継続させる意向を示した。
今回の次期塾長選出にあたり、慶大の全10学部、一貫教育校、職員の計12部門が第1次塾長候補者を各2人ずつ推挙。次いで各部門から選ばれた推薦委員が第2次塾長候補者を投票で選出した。推薦委員は1回目の選挙(3人完全連記)で候補者を5名選出した後、2回目の4月19日の選挙(単記または3人までの連記)で候補者を国分良成氏、清家篤氏、細田衛士氏の3氏に絞り込んだとみられる。
同21日には評議員などからなる塾長候補者銓衡(せんこう)委員会が塾長候補者1名を選任。同24日の評議員会で清家氏が次期塾長として正式に選任された。
清家氏は55歳。慶大経済学部を卒業後、同大学院商学研究科博士課程単位取得退学。商学部教授・大学院商学研究科委員を経て、2007年10月から現在まで同大学商学部長・大学院商学研究科委員長を務める。