【論説】

 多くの有名アナウンサーを輩出してきた「ミス慶應コンテスト」(通称「ミス慶應」)。三田祭の中でも特に世間の注目を集めるイベントであったが、今年の開催はなくなった。
 ことの発端は昨秋。ミス慶應を主催する広告学研究会に所属する1年生(当時)10名が日吉駅構内を全裸で疾走、公然わいせつの容疑で書類送検されたことにさかのぼる。
 事件の責任をとって、広告学研究会は活動の無期限停止などを発表。しかし開催を目前に控え既に企業から協賛金を集めていたことを理由に、実質的な自粛開始はミス慶應2009の後となった。
 慶應義塾は2010年度の三田祭での広告学研究会による実施の可能性を否定するコメントを7月下旬に発表。他団体による主催については「関知せず」との姿勢を示し、一時は他団体による開催が塾生内で噂された。
 そんな中、学生から構成される三田祭実行委員会(以下、三田実)は9月に入って「ミスコンテスト及びそれに類似する」イベントの自粛を発表。かくして「ミス慶應2010」の企画は幻に終わった。
 来年度以降の開催について、最終的な決定権を握る三田実は「(次代の)第53回三田祭実行委員会が決めること」と明言を避けている。
 昨年のミス慶應が例年通り開催され、社会的なけじめが十分つけてられていないことを考えると三田実の判断が不当なものであるとは言い切れない。終始一貫した対応を取り続けたことはむしろ評価されるべきだ。
 塾生は三田実の決定をただ嘆くのではなく、ミスコンとの在るべき姿を考え直す良い機会とするべきである。外国車をはじめとする高額な賞品の是非や運営の透明性など、問い直されるべきことは多い。 
 また「外見の美しさはもちろん、考え方や価値観といった内面の魅力を伝える」(ミス慶應2009HPより)と謳われながら、従来のミス慶應において単なる「美人投票」の域を出るための努力が今一つ見えなかった点についても再考の余地があるだろう。そういった中、今年の三田祭において新たに開催されるイベントを巡る動きは注目に値する。
 「ファッションコレクション」はその名の通り、より服飾に力点を置いたイベント。男女のモデルのみならず、デザイナーやスタイリストを含め全て慶大生だそうだ。
 1・2年生を中心とした学生団体EPAは、「情報発信者」として最も優れた女子学生を選ぶイベント「Keio Venus Award(Girls Social Movementに改称交渉中)」の開催に名乗り上げた。団体が独自に選定した5人がそれぞれ「女性と子供が安心して暮らせる社会」をテーマに取材を実施・公開し、三田祭で発表するという方向で企画を進めている。
 二つのイベントとも、その名称からミス慶應の焼き直しのような印象を受ける。実際、内容や宣伝媒体がミスコンを彷彿させるとして、準備段階で三田実が指導を行う場面もあったそうだ。しかし、三田実によると両団体とも現時点では変更などの要請には柔軟に応じ、初開催に向けた調整を行っているという。
 外部から見ると「類似」についての判断基準が曖昧である感が否めないが、三田実や主催団体をはじめとする関係者には学生自治の好例となるような自主的努力を期待したい。
 しかし今年の三田祭に関して既に起こったことを振り返ると、褒められたことばかりではない。
 例えば中庭での模擬店出店。高倍率の抽選を突破し販売場所を確保するためのダミー団体づくりが横行した。また、AKB48が出演する三田祭前夜祭のチケット販売では、三田実の不手際もあり、深夜になって先着漏れを告げられた塾生の一部が日吉駅周辺で騒ぐなどの混乱が見られた。
 学生のモラル向上を訴えることも大切だが、こういった恥部を拡大・再生産させないための仕組みづくりを学園祭関係者には求めたい。「不祥事により、三田祭中止」などという事態が起こらぬことを切に願う。
        (花田亮輔)