探偵ナイトスクープのスタジオでの写真
関西地方を中心に、ニュースからバラエティ、ラジオまで幅広く活躍するアナウンサー・増田紗織さん(法学部政治学科2019年度卒)。『探偵!ナイトスクープ』など数々の人気番組への出演でも知られる彼女に、大学時代の経験から現在の仕事に対する思いを伺った。
大学生時代
大学生時代、増田さんは家庭教師のアルバイトを1年生から4年生まで続ける一方で、サークル活動にも精力的に取り組んでいた。中学・高校時代から続けていたダンスを大学でも継続し、学園祭での発表に向けて日々練習を重ねた。今でも交流のある仲間をサークルを通じて作ることができたことがよかったと増田さんは振り返る。また、小学生の頃から習っていたゴルフも大学生になっても続けた。今でも、仕事仲間や家族、友人と一緒にゴルフに行くことは忙しい日々の中でのリフレッシュになっているという。
就職活動では、テレビ業界1本に絞って挑んだ。幼少期に住んでいたニューヨークの街中で頻繁に目にしていたテレビ局の取材クルー。そのような経験からテレビを身近に感じていたという。テレビ好きが高じて、テレビ業界への思いは強かったそうだ。ただ、意外にもアナウンサーを志そうと思った特定のきっかけはなかった。一般総合職との併願する形でアナウンサー部も受けていく中で決断したという。就職活動中は自ら動いて情報を集めた。
実際にアナウンサーとして働いてみて
アナウンサーとして働く今改めて振り返ってみると、「話の引き出しを増やすこと」の大切さを実感するという。
幼少期の海外経験、学生時代に熱中したダンスやゴルフ、一見すると今の仕事と関連がないよう思える活動も、今となっては自分の中にしっかりと根付いている。ダンスは特に、番組などを通して再び踊る機会があり、当時は想像しなかった形で現在の活動にもつながっているそうだ。
増田さんにとってアナウンサーという仕事の魅力は、さまざまな人との出会いにあるという。取材を通して、色々な業種・企業の人、研究者・開発者など、普段の生活ではなかなか関われない方々に直接話を聞き、自分の知らなかった世界を知ることができる。取材では事前に質問を準備して臨むが、実際に話を聞いているうちに思いがけない角度から興味が沸き、新たな質問が自然と生まれてくる。この職業ついたからこそできる日々の体験が仕事の喜びにつながっている。
仕事のスケジュールは不規則で、早朝に出社する日もあれば、夕方に出勤することもあり、土日が休みというわけでもない。最初は大変に感じたが、この働き方に慣れた今は、苦でないという。 また、大阪と東京の往復はその時間をラジオの原稿作成や休息時間として活用している。
テレビとラジオ、それぞれのメディアには異なる特性がある。テレビでは1つの話題についてコンパクトに伝えられるか、ラジオはいかに1つの話題について深く掘り下げ、話を繋げていくか、その点が大きく異なる。また、ラジオでは映像がない分、テレビと比べ、細かい部分まで詳細に言葉で伝える必要がある。たとえば、食べ物の話であれば、味だけでなく香りや見た目までを想像させる言葉選びが重要になる。同じものについて伝えるとしても使う言葉によって伝わり方は変わってくる。増田さんは日常生活から言葉選びについては特に意識しているそうだ。特に1人で担当しているラジオ番組では、2人以上でのラジオ番組と異なり、聞き手の反応が見えないため、話し言葉を意識した原稿を事前に用意している。1人喋りのラジオでは最近あった話に加え、これまでの海外経験を始めとする様々な経験を話す。この時にも自分の中の話の引き出しが活きている。
初めてアナウンサーとしてテレビに出演したのは、「おはよう朝日です」。ABC テレビの新人アナウンサーが毎年お披露目される番組である。アナウンサーになってから何週間もの研修期間を経て準備していた。だからこそ、意外にも大きな緊張はなく、自然体で臨めたという。
増田さんはバラエティ番組にも出演している。自分自身で100準備していってもそのうちの一部しか使えないことの方が多い。臨機応変に盛り上がりを見ながら進行を調整していく難しさと面白さがあると増田さんは言う。ニュース読みもバラエティの進行も、同じアナウンサーの仕事だが切替が必要になる。
印象に残っている仕事を一つに絞るのは難しいという。それほど、多くの現場で多様な経験をしてきた。
学生時代、特に人前で話すことに慣れていたわけではなかったという。それでも現在は、テレビやラジオなど多様な現場での経験を重ねている。準備をしっかり行い、その場の流れに柔軟に対応する力は、経験の積み重ねから得られたものである。
2019年にアナウンサーとしてのキャリアをスタートさせて以来、テレビもラジオも途切れることなく続けてきた。今後もその歩みを止めることなく、それぞれの仕事をさらに「パワーアップ」させていきたいと語る増田さん。日々の積み重ねと、自分の中にある”引き出し” を信じて、これからも視聴者・リスナーに言葉を届けていく。
(田中智子)