医学部、そしてラクロス日本代表。どちらか一つに所属するだけでも大変なことである。七月にカナダで開催されるラクロスW杯の日本代表に選ばれた継渉さん(医2)は、そのどちらにも所属するマルチな人物だ。

誰もが、医学部の勉強とラクロスの練習を両立できるのかという疑問を持つだろう。本人は「信濃町でもできることはたくさんあります」と、涼しげに語る。医学部でラクロス部の先輩が信濃町のグランドにゴールを置いてくれたので授業前後に練習しているのだという。しかしその一方で授業が忙しく、平日に行われるラクロス部の全体練習にはあまり参加できない。「確かにチームスポーツとしてハンデにはなるが、何も出来ない訳ではないので勉強と両立するのは自分次第ですね」。プラス思考で両立を図っている。

そもそも、なぜ医学部とラクロスという共通点がほとんど見られない分野を選んだのか。「医学部を選んだのは、病院で働く親への尊敬の念から。ラクロスに関しては、中学までテニスをしていたが、高校ではチームスポーツをしたいと思った。やるなら試合に出たく、自分のやった事のない新しい種目がいい。そこでいくつかの候補の中からラクロスの試合を見に行って、楽しそうだったから挑戦してみた」とのこと。少しでも興味を持てば、何でも挑戦する。その姿勢が、今の継さんを支えている。




高校からラクロスを始めたため、競技歴は短い。しかし現在の代表チームでは最年少選手として活躍している。「(最年少であることは)不安だったが、自分が受け身になるとチームメイトもやりにくいと思い、自分からやりたいことを発信した。チームメイトも応えてくれ、互いにやりたいことを伝えられるようになった。コミュニケーションは円滑に取れている」。

6月18日に行われた国際親善試合では主に第二クォーターに出場。チームは十八回目となった親善試合で初めて、アメリカのチームに勝利した。その試合を「緊張しなかったと言えば嘘。だが、足を動かして相手の守備を崩すという自分に与えられた役割は果たせた」と振り返った。

塾生という自身の環境については、どう思っているのか。「自分がやりたいことにチャレンジできる環境があるので、ラクロスや勉強を通して充実感を得られるような質の良い時間を過ごし、人間として少しでも成長したいです」

インタビュー中、何度も「出来ることはやっていきたい」という言葉が発せられた。「限界は自分で作ってしまうもの。今の自分はそれを感じることはない」とも語る。この強い向上心や、不断の努力こそが継さんの力なのだろう。この力はラクロスではもちろん、医学の分野でも必要となるはずだ。今後の目標は、今回のW杯でチームの目標のために最善を尽くし、四年後にはチームの核として再びW杯に出ること。

このように強い精神力を持つ継さんが世界を舞台に活躍してくれることに期待したい。

(湯浅寛)