喊声 6月号

今年の大河ドラマの主人公である黒田官兵衛は一度も敗戦したことがない戦の名人として知られる。茶の湯や連歌を嗜み、あの千利休にも認められていたという。まさに、文武両道に秀でた人物だ

▼あるテレビ番組で、文武両道を目指す大学の取り組みが紹介されていた。その大学では体育会所属の学生が部活動で華々しい成績を残す一方、留年してしまうことが多いそうだ。対策として、教室で座る位置を最前列に指定し、顧問が学生のノートを毎週チェックするようにした。その取り組みを行った部活では落第生がいなくなったという

▼確かに文武両道は体現できているかもしれない。しかし、そこから「自律」が欠落してはいないだろうか。言われたことを言われた通りにすることは子どもでもできる。大学生に求められていることは、自ら主体的に行動することだろう。自分のことには自分で責任を持つということができていない学生が多いように感じる

▼官兵衛は『如水遺事』で文武について述べている。曰く、文とは物の道理をわきまえ、諸事についてよく考えることである。真の文武両道を目指すのなら何を行うべきかよく考えたうえであらゆることに取り組むべきだ。 (浦野志都)