メディア開発部副部長 荒木英士さん
メディア開発部副部長 荒木英士さん

真っ白な近未来的オフィス。出迎えてくれたのは、グリー株式会社メディア開発部副部長、プロデューサーの荒木英士さん。慶大環境情報学部在学中からSFC生が中心となって創業したベンチャー企業でソフトウェアの研究、開発、営業などに携わっていた。「早い段階から、社会で仕事をするということがどういうことなのかを知ることができました。学部の特性上、SFCの研究者の方や教授などにアドバイスを頂いたりして産学協同を実感していました」と語る。
卒業1年前に、その会社はモバイルベンチャー企業と合併。その後、グリーへ入社した。それまでの対企業向けの仕事から、対ユーザー向けの仕事になったことが一番の変化だ。「こちらがいくら良いと思ったものを生み出しても、それがユーザーの需要にあっていないと受け容れられない。本当に楽しいから使いたい、欲しいと相手に思わせることが求められます。企業相手とは違って、直接の売り込みや根回しが通用しない。シビアですが、その分真剣勝負ですから刺激的です」と言う。「自分が作ったものがGREEユーザーの1500万人に受け容れられる。自分が作ったサービスを親子で楽しんでいる姿を目にしたり、友達が最近ハマっているといって見せてくれたキャラクターが自分が考えたものだったり。たくさんの人に直接的な影響を与えられます。多くの人の生活やコミュニケーションを変え、その積み重ねで世の中を変えているんだな、と感じられるときがこの仕事をやっていて良かったなと思う瞬間です」
中学生のころからホームページ作成などを趣味とし、自分が作ったものを他人に見てもらうのが好きだったという。「自分の好きなことを仕事にできるのが幸せなことですが、仕事にするには能力的にも他の人より秀いでていなければならない。好きを得意に変える努力は是非してもらいたい」と就活生にエールを送る。
ネット業界はとても動きが早い世界である。その流れに柔軟に対応できる人、決まった未来や安定したステップを求めるのではなく、自分で道を切り開く人がネット企業に求められる。「こういうことをしたい、という目的意識と熱い思いを持った人と是非一緒に働きたいです」と未来の仲間に期待する。
最後に後輩に向けて「今になって思うことは、頑張って勉強した方がいい、ということです。一見仕事に関係ないような分野でも、本気で頭を使って勉強することで、論理展開力や数学的思考力、あるいは集中力など知的労働者に不可欠な基礎力が身に付きます。本気で勉強に取り組むのは案外に会社に入った後では難しい。そういう経験をしてきた人は、社会人になってからの成長力も高いです」と語った。
好きという思いを仕事にする。対ユーザーゆえの「本物」を作る必要性の厳しさと刺激的な楽しさを垣間見た。
(西村綾華)