喊声 12月号

パラレルワールドの存在が議論を呼んでいる。今と同時並行に流れるもう一つの「今」。人生のあらゆる岐路で、「これ」ではない選択をした場合の自分が生きる世界。岐路の数だけわたしが存在する

▼わたしをつくるものは何か、ふと考える。進路選択を迫られたとき、文系・理系・芸術、どれを選ぶか、まさに「死ぬほど」悩んだ。この瞬間、この決断がもう一人のわたしを消す気がした。そこで出会う人間も環境も何もかも。自分を絞め殺していくような感覚さえあった

▼決めることは楽ではない。論理的思考と的確な見極めには体力と判断力を要する。それでも何が正しい選択かなど分からない。結局、判断とは未来に対する予測でしかない。だからこそ悩み抜いた末、えいっと直感で決めてしまうことも多くある

▼「思い通りにならない自分を楽しむ」(羽生善治氏・棋士)。決断が求められる幾度もの対局を経てたどりついた考え方なのだろう。とことん悩んでだめならあえて直感に頼る、それが彼の生き方だ。直感力は知識や経験など自分の中に蓄積したものの表出だという。就職活動の始まる12月。自分に正直に向き合う方法の一つは「直感」かもしれない。  (清水咲菜)