春季リーグ戦まで残り1ヶ月を切った。2季連続で2位に終わった慶大野球部。3季ぶりの優勝を目指す慶大野球部のキーマンとなる選手が廣瀬隆太内野手(商1)だ。

慶應義塾高校時代は、第100回全国高校野球選手権大会で2年生ながら4番を任され、昨年の秋季リーグ戦では1年生唯一のレギュラーに抜擢され、ベストナインの活躍。野球エリート街道を歩む彼に活躍の秘訣を聞いてみた。

慶應幼稚舎出身の彼が小学生の頃から見てきた六大学野球の舞台は、今まで思い描いてたそのまま「夢のある舞台」だった。「単純にレベルが高く、レベルの高い舞台で野球をできるのがありがたい」と語る。春季リーグ戦では、主に代打での出場でなかなか結果を出せなかった。「他の大学の1年生が(春季リーグ戦から)結果を残してるのをみて焦りを感じてたので、それがモチベーションに繋がりました。」球速も球のキレも違う大学野球に対応するためマシンの球速を速く設定し、レベルの高い舞台で結果を残せる努力をした。

迎えた秋季リーグ戦、夏のオープン戦での活躍を買われ、初戦の東大戦でスタメン出場を果たす。「監督や先輩には、割り切って積極的にいけ、と言われました。」初めてスタメン出場を果たした東大戦では2試合連続となる本塁打、8打数5安打の大活躍だった。「単純に嬉しかったけれど、正直実力以上の結果が出て怖いというのが1番でした。」と話す。

相手投手はプロ野球ドラフト会議で1位指名を受けた投手ばかりだ。「直球のノビや変化球のキレのレベルが違って、バットに当てるのが精一杯でした。プロはレベルが違うなと感じました。」と話す。その中でもリーグ4位となる高打率を残せたことについて「気持ち的に割り切れた」と分析した。「打てないのが当たり前ぐらいの気持ちで打席に入れたからこそ自分の持ち味が出せたと思います。」

自分のアピールポイントは「長打力」。秋季リーグ戦では13安打中10安打が左方向へのバッティングだった。「打席の中では何も考えない。来た球を捉えて自分の飛ばしたいように飛ばした結果、そうなりました」と話す。

同じポジションには、同学年に明治大学の上田希由翔選手(愛産大三河出身)がいる。ライバル意識を抱く気になる存在だ。「パワーもミート力も上田選手の方が上だと思います。」と話す。そんな中で獲得したベストナインというタイトル。「上田選手との競争もあったので、ベストナインをとれて嬉しかったです。」と話してくれた。

自分の性格はマイペース。緊張とかはしないタイプであり、1年生唯一のベンチ入り、レギュラーとなったが、プレッシャーは感じずに、割り切れたという。秋季リーグ戦の活躍の秘訣は「自分を信じて、自分のスイングをリーグ戦期間中貫き通せたこと」だと話す。

今オフのテーマは「柔軟性」。トレーナーと相談しながら、秋季リーグ戦で動きが硬くなってしまったという課題を克服するために決めた。「去年の1年は筋力をあげることをメインにやってきたので、今年は鍛えた筋肉を野球に生かすために柔軟性をテーマにやっている」という。

憧れの選手は正木智也選手(政3)。中学生時代から同じユニフォームでプレーし、ずっと背中を見てきた偉大な存在だ。「練習量も打撃の知識も本当に凄いので、いつもよく教えてもらっています。可愛がってもらっています。」と話す。そんな廣瀬選手の思い描く打者像は「三冠王を取れる打者」。「ゆくゆくは4番を打ちたい」と話してくれた。

2位に終わった昨年、先輩の涙を間近で見た悔しさを晴らし、3季ぶりの優勝を果たすには彼の活躍が必要不可欠だろう。

(山本結以)

◇廣瀬隆太(ひろせりゅうた) 商学部1年。慶應義塾高校出身、181cm81kg。マイペースな性格で物怖じしない思い切りのいいプレーが魅力。1番仲のいい先輩は丸谷浩太郎選手(総3)。今季からはサードに挑戦している。昨年プロ野球ドラフト会議で楽天1位指名を受けた早川隆久投手の凄さは「コントロール」。