慶大理工学部に特有の制度「学門制」。他大学には見られない制度であることから、学門制について詳しく知らない受験生も少なからずいるだろう。しかし、学門の選択は学科選択、ひいては学生生活に大きな影響を及ぼす重要な選択である。後悔のない選択ができるよう、本記事を学門の選択の参考にしていただきたい。

 

学門制とは

慶大の理工学部では、出願の際に学門をAからEの5つから選択し、1年生の間は出願の際に決めた学門に所属する。そして、2年生に進級する際に学科を選択することになる。慶大の理工学部には11の学科があるが、学科選択の際には学門に応じて選べる学科が限定されている。それぞれの学門から進学できる学科は以下の通りである。

大学で学ぶことが想像できない、学科で何を学ぶのかよくわからない、といった悩みを抱える受験生も多いだろう。そこで、塾生新聞は全11学科に所属する学生にアンケート調査を行った。実際に通う学生の声を、学門選択の一助としてほしい。

 

学門A

物理や電気、と冠した学科が多く物理系の学科への進路が豊富な学門A。学門Aからは物理学科、物理情報工学科、電気情報工学科、機械工学科へと進学できる。特に、物理学科は学門Aからのみ進学できる。

 

学門Aを選んだ理由は?

・学門Aからしか物理学科には進学できないから。

・物理に興味があったから。

・中学の頃から興味を持っていた電気系の学科に進みたいという気持ちがありつつ、高校で習った物理学が面白かったので物理学科に行ける可能性を残しておきたいと思い、学門Aを選択しました。

・物理系の学科に所属したいと思ったから。

・機械に興味があり特にロケットに関心があったので物理も勉強したかったから。

 

物理情報工学科

どんなことを勉強していますか?

・電磁気学や電気回路などの電気に関することやデジタル基礎のようなコンピュータ関係のこと。

 

学科の魅力を教えてください。

・応用物理について幅広く学ぶことができるところ。塾長の伊藤公平教授が所属している学科でもあり、IBM Q HUBでは量子コンピュータに関する最先端の研究が行われているところ。

・クオーター制を導入していて他学科と比べて留学に行きやすい。

 

物理学科

どんなことを勉強していますか?

・力学や電磁気学、熱力学など物理全般に加えて物理に必要な数学の授業も多くある印象です。また、選択授業で化学や生物の授業も多くあります。

 

学科の魅力を教えてください。

・真面目な学生が多く勉強に集中できる環境が整っています。また、学科の定員が40人ほどであり学科の人同士のつながりが強いです。

 

電気情報工学科

どんなことを勉強していますか?

・さまざまな分野に通用する数学や電気、光技術の基盤となる電磁気学から、電子の動きやデバイスを構成する半導体の原理、電気回路の理論、プログラミングなど、まだまだ基礎に近いものの、基礎から応用までを幅広く学習しています。

 

学科の魅力を教えてください。

・電気、光、情報と幅広い分野の研究室があり、学科配属後に興味の持てる分野が見つかる可能性が高いです。また、生徒5人に対してアドバイザーとして教員が1人つくため非常に相談がしやすい環境が整っています。

・他学科と比べて就職に強いと言われている。

 

機械工学科

どんなことを勉強していますか?

・4力(機械力学、材料力学、熱力学、流体力学)およびそれの発展、応用した内容。

・力学や図面の設計などを行っています。

 

学科の魅力を教えてください。

・教員が多く様々な分野の研究ができることが魅力です。研究できる分野が幅広く情報系や化学系、薬学のこともできます

 

学門B

電気系、情報系、建築系など幅広い学科への選択肢が用意されている学門B。選択肢の広さが選択理由となった学生も多いようだ。学門Bからは電気情報工学科、物理情報工学科、情報工学科、システムデザイン工学科に進学できる。

 

学門Bを選んだ理由は?

・物理と情報の両方に興味があったから。

・情報系の学科に進みたくて、できるだけ様々な学科への選択肢を残したかった。

・情報工学科に行きたかったが、学門Cは数学が厳しいと聞いたため。

・ハードについて勉強したいと考えていたから。

・物理もしくは情報を専攻したかったが興味が移ってもいいように多様な学科に進学できる学門Bを選んだ。

 

電気情報工学科

学門Aの電気情報工学科をご覧ください。

 

物理情報工学科

学門Aの物理情報工学科をご覧ください。

 

情報工学科

どんなことを勉強していますか?

・コンピュータの使い方、プログラミング、通信、AIなど情報分野を中心に幅広い学問を勉強できます。

 

学科の魅力を教えてください。

・人気な学科ということもあり、レベルの高い仲間と学べる。

・プログラミングなどを学びながら他の知識もつけられる。

 

システムデザイン工学科

どんなことを勉強していますか?

・設計、数学、力学、回路、電磁気学など。

・ロボットや建築、本当になんでも。

 

学科の魅力を教えてください。

・ロボットや建築、本当になんでも学べるので自分が何をしたいかじっくり考えられる。

 

学門C

学門Cからは情報工学科、数理科学科、管理工学科、生命情報学科へと進学できる。中でも、数理科学科は学門Cからのみ進学できる学科である。こちらも学門Bと同様に情報や数学、生命系と幅広い進学先が用意されており、複数の学科に興味がある人が出願することが多いようだ。

 

学門Cを選んだ理由は?

・管理工学科に行きたくて、学門Cは学門Dよりも管理工学科の定員が多いから。

・数理科学科と管理工学科に興味があったから。

・情報工学科か生命情報学科に行きたかったから。

・情報工学科に行きたくてその割合が最も高かったから。

・理系だけど経営や経済に興味があり管理工学科に行きたかったから。

 

情報工学科

学門Bの情報工学科をご覧ください。

 

数理科学科

どんなことを勉強していますか?

・解析、線形代数、情報数学など数学全般を勉強しています。他にも量子力学など物理の授業も多く選べる印象です。

 

学科の魅力を教えてください。

・唯一実験がなく必修も少ないので空き時間が多いです。空いた時間に自主的にゼミを開く人もいて数学好きにはたまらない場所だと思います。

 

管理工学科

どんなことを勉強していますか?

・株、生産ラインの最適化、Python、利益追求など。

・経済、経営、金融から数学、情報、人間工学などまで幅広く学んでいます。

 

学科の魅力を教えてください。

・学科で勉強することの中には経済や金融のことなど実生活に関する内容が多いです。

・経済や経営など文系っぽい分野に興味があるけど、理系の論理的思考や数学の能力を活かしたい!という人にぴったりの分野です。

・理工学部にしてはおしゃれな人が多い学科だと思います。

 

生命情報学科

どんなことを勉強していますか?

・物理化学、有機化学、生物、プログラミングなど幅広く学んでいます。

・主に、生物学と情報学を学んでいます。 生物学では、体内で行われている物理的化学的反応を理解する勉強をしています。 情報学では、機械語とプログラミング(C言語)を習っています。

 

学科の魅力を教えてください。

・生命情報学科は1クラス(約50人)からなる学科なので、高校のクラスみたいな雰囲気があります。 この学科の人たちは、勉強と息抜きのメリハリがしっかりしています。周りのみんなが学習面でも生活面でも凄いので、自分も頑張ろうって思えます。

・生命に関する事だけでなくプログラミングも学べます。

 

学門D

学門Dからは機械工学科、システムデザイン工学科、管理工学科に進学できる。名前だけでは何を学ぶかわかりにくい学科も多いがそれぞれの学科で何を学んでいるか先輩の声を通じて知ってもらいたい。

 

学門Dを選んだ理由は?

・ロボットに興味があったから。

・機械系統に興味があったから。

・難しい数式を扱うようなことをやりたくなくて経済などを扱う管理工学科に行きたかったから。

・学門Dと学門Eの両方の学科に興味はあったが、学門Eに入ってしまうと化学系の学科にしか行けなくなってしまうのが、可能性が狭められてしまうと思い、学門Dにしました。

 

機械工学科

学門Aの機械工学科をご覧ください。

 

システムデザイン工学科

学門Bのシステムデザイン工学科をご覧ください。

 

管理工学科

学門Cの管理工学科をご覧ください。

 

学門E

学門Eは化学科、応用化学科、生命情報学科へと進学できる。進学先の多くが化学系の学科ということもありアンケートからも化学を好む学生が出願していることがうかがえる。

 

学門Eを選んだ理由は?

・もともと農学部志望で、近しい学科があったのがEだったため。

・大学で化学について深く学びたかったから。

・浪人していた時に予備校の授業がとても楽しく、大学で学ぶ化学に興味をもったため。

 

化学科

どんなことを勉強していますか?

・ひたすら化学!!!

・化学についてなのですが、生物情報科や応用化学科よりも理論を狭く深く学んでいると思います。

 

学科の魅力を教えてください。

・40人の1クラスであり、同級生とも馴染みやすく、人数に対する教授達の人数が多いのでサポートを受けやすい環境が整っているところですね。あと女子が他学科より多く、この学年は過半数を占めています。

 

応用化学科

どんなことを勉強していますか?

・実生活に関わる化学の利用。

・有機化学、無機化学、電気化学、化学工学、材料化学などを幅広く実験と座学で学びます。

 

学科の魅力を教えてください。

・実験が多く大変ではありますが、化学的な現象を実際に目で見て確かめられることが魅力だと思います。

・化学科と異なり学科の定員が多いので友達を作りやすい。

 

生命情報学科

学門Cの生命情報学科をご覧ください。

 

注意も必要な学門制

自分の所属する学門から進学できない学科に進学したい人のための措置として、「学門越え」と呼ばれる制度がある。この制度により、各学科で成績に応じて5人前後は他学門から進学することができるが、1年次に非常に高い成績を収めなければならず、学門越えの難易度は高い。以下に、学門選択を後悔した人の声を記載する。これらの声も学門選択の参考になれば幸いである。なお、本調査では「他の学門に進学すればよかったと感じたことはありますか」という質問に対して、全回答数48件の内10人があると回答しており、学門選択を慎重にすることの重要性が垣間見える結果となった。

 

・化学が得意だったので学門Eに出願したが元々工学に興味があったので、機械工学科やシステムデザイン工学科、電気情報工学科などに行きたかった。

・大学生になって初めて学んだ量子力学に興味を持ったので量子コンピュータの研究が盛んな物理情報工学科に行きたいと思った。

・数学が好きなので数理科学科に進学したいと思いました。現在は数理科学科の講義を受講していますが所属する学科の授業も受けなければならないため大変です。

 

先輩たちの声を見て興味を持てる学科は見つかっただろうか。化学や物理など大学で学ぶことは高校の延長であっても、その性質が異なることが往々にしてある。自身でも学科について調べてもらい、この記事を読んだ受験生の皆さんが悔いのない選択をできることを祈っている。

 

櫻井優悟