努力し続ける 結果は必ずついてくる

〈高居翔〉  法学部政治学科4年。慶應志木高卒。 

昨年春、隅田川において第78回早慶レガッタが行われた。慶大は対抗エイトにて、見事4年ぶりの勝利を果たした。その艇を率いていたのは端艇部前主将、高居翔。主将として迎えた最後の早慶戦。3年越しの想いが花開いた瞬間だった。

高校、大学とボートを続け、常に第一線で活躍してきた高居にとって、初めて挫折を味わったのは大学3年の春だった。その年の早慶戦を前に、高居は怪我で対抗エイトのメンバーから外された。下級生と組んで出場した第2エイトでは思うように艇を進められず涙をのんだ。しかしこの挫折は高居を大きく成長させた。
「一人だけ頑張ったところで艇は前に進まない。一人のオールは8本のオールの一部にすぎない。一人一人が強くなって初めて艇は前に進む」。高居はそう思うようになった。
また主将就任当初、高居は強引にでも力強く部を牽引しようとした。しかしその結果、後輩は委縮し、チームは力を失った。それから高居は積極的に部員とコミュニケーションをとるようになった。後輩を訪ね何度か日吉にも足を運んだ。その後、後輩は徐々に心を開き、端艇部は息を吹き返した。
「人」と接することで人も自分も強くなる。「単なる友達付き合いを超えて、他人について本当の意味で考えるようになった」。高居は当時をこう振り返った。
「人」と向き合う。最後の早慶戦は、そうして掴んだ勝利であった。
彼には今、確信をもって言える言葉がある。「どんな状況下でも努力すること。誰でもいつかは壁にぶつかる。それでも諦めなければ必ずいいことがある。結果は必ずついてくる」
(有賀真吾)