双子の不思議 ―遺伝子研究のフロンティア―

2000年代、瓜二つの外見を持つ双子のタレントや芸人が一世を風靡した。この「双子ブーム」が現在、SNSの普及と相まって再び大きな流行となっている。「双子」が世間から注目されている理由は、外見だけでなく、2人の行動や癖が似ていることに人々が引きつけられているからだろう。双子には実際にそのような特徴がある。なぜ、このような不思議な現象が起こるのだろうか。「ふたご発達研究センター」センター長で、慶大文学部の安藤寿康教授に話を聞いた。

教授は自身の研究を「双子の双子による双子のための研究」と話す。「双子研究」は、双子の知能や個性に及ぼす遺伝と環境の影響の解明を目的にしている。また、双子の独自性を研究することで、双子を育てる母親のサポートにも役立てている。

教授によると、双子の誕生には未だ解明されていない謎があるという。一卵性双生児はすべての民族でほぼ同じ確率で誕生すると言われている。しかし、すべての民族が10本の指を持っていることを説明することが難しいように、このような普遍的な現象を解明することは困難である。したがって、1‌0‌0‌%同じ遺伝子を持つ一卵性双生児が生まれる理由は、未だに解明できておらず、「偶然」と言うしかない。

双子の不思議な特徴には、一人が涙を流すと、それがもう一人にも伝わったり、2人の寝るときの姿勢が一致していたりすることがしばしば挙げられる。教授にその理由を尋ねると、3つの原因が考えられるという。

一つ目は、遺伝的な原因である。寝癖など、無意識の行動での類似性はこれで説明することができる。双子の場合、骨の構造や歯形までもが一致している。身体の内部構造が同じため、身体的な癖も一致するのだ。

二つ目は、環境的な原因だ。大阪で生まれ育った人が自然と大阪弁を話すことができるように、双子も同じ家庭内で育つことで、同質性が発生する。親子間や兄弟間でさえ、似たような癖や仕草が見られることがある。同時に育つ双子なら、その影響も尚更である。

三つ目の「感情伝染」でも同じようなことが言える。他人同士でも会話をしているとき、感情の同調が起こる。それは、他人との長時間の交流によって波長が合ってくるからだ。この理由から、一つ屋根の下で一緒に育つ双子はより同調や感情の伝染が起きやすくなる。

双子の類似性において、一つ目の遺伝による影響を最も受けやすい要素は知能であるという。知能の遺伝率は60%から80%であると言われている。数百組の双子のデータを基に調べた教授の研究によると、双子の類似性の80%は遺伝の影響で説明できるという。そして、残り20%が環境によるものである。

双子には未だ解明されていない多くの不思議がある。「双子研究」は遺伝子研究の最先端として、今後も進められていくという。
(鵜戸真菜子)