6月24日、三田キャンパス南校舎472教室にて行われた塾生代表選挙候補者討論会に、前田稔氏、若林卓実氏、椎木里佳氏の三人の候補者が登壇した。討論会の様子はインターネットでもライブ配信され、多くの塾生から注目を集めた。

討論会は各候補者の自己紹介から始まり、公約を確認した後、パネルディスカッション形式で進められた。投票も後半戦を迎えた今、改めて候補者の主張を確認する。

 

各候補者の公約

前田稔

  1. 「不祥事から塾生を守る党」の発足

  2. 次期塾生代表選挙の円滑化

  3. 塾内格差の是正による学内イベントの参加者増加

若林卓実

  1. 目安箱の設置

  2. 各体育会の慶早戦の広報活動、塾生の動員強化

  3. 各キャンパスの学園祭の広報活動、塾生の動員強化

  4. 塾生の活動環境の改善(メディア開館時間の延長・プリンター使用を無料化)

  5. サークル団体と全塾協議会所属団体の、相互の連携と協力体制の強化

椎木里佳

  1. 匿名で性的暴力を告発・相談できる性犯罪対策本部を設置

  2. 起業家養成講座を立ち上げ、起業家主催のシンポジウムを実施

  3. keio.jp履修登録画面のページ改善

 

パネルディスカッション①  司会:前田稔

 

「大学の予算」が大きく動く公約については実現できないのではないか。その点、候補者はどのように考えているか。

前田「過去2代の塾生代表が掲げた公約はいずれも達成できていない。大層な公約を掲げても任期1年という期間では達成は難しいという意見も届いている。今回、任期が半年という中で、お二人はどのようなプロセスをとって公約実現を果たすつもりなのか」

若林「プリンターの無料化、メディアの開館時間の延長の二つを、全塾協議会の予算から捻出する予定だ。メディアの開館時間の延長を公約に掲げた理由は、とくにテスト期間中など、塾生に快適な勉強ができる環境を与えてあげる必要があると考えたからである。湘南藤沢キャンパス同様、日吉や三田キャンパスでも残留届を提出することで、24時間学内で勉強できる環境を整えていけたら良いと思う」

椎木「keio.jpの履修登録画面の改善について、現在webサイトは凄く安く作ることができる。実際、株式会社AMFのサイトは作成に20万円程度しかかかっていない。また、少ない金額でwebページ作成を委託しても、企業側は“慶應の履修登録画面を作った”という実績が得られることを鑑みて、メリットとして受け入れてくれるのではないかと考えている。公約について、一学生が任期のうちに達成するのは難しいかもしれないが、過去の公約も含めて継続して達成に向け活動していくことは、慶應を大学として運営していくにあたっても重要なことだと思っている」

パネルディスカッション②  司会:椎木里佳

 

(前田候補に対して)塾生代表はそもそも必要なのか。選挙の費用はカットすべきなのか。

 前田「塾生代表という役職、全塾協議会という組織自体は慶應にとって必要なものだと考えている。選挙費用に関して、今回の選挙には約250万円かかっているが、その内200万円程度は全塾生の自宅へのハガキの郵送費である。しかし、実際にハガキが効果的であるかは疑問であり、廃止すべきだと思う。そもそも塾生代表選挙自体、低すぎる投票率などの理由から廃止すべきだと考えている。廃止によって浮いた分を学生団体に配分する予定だ。その後は指名制によって塾生代表を選出したい。恣意的で不公平な指名を防ぐための対策として、全国慶應学生会連盟や芝学友会などの上部7団体から塾生代表を交代制で選出することや、塾生代表のリコールの発動条件を緩和することを考えている」

パネルディスカッション③  司会:若林卓実

 

これまでの選挙戦を振り返った感想をお聞かせください。

前田「三週間かけ各キャンパスで演説を行った。演説中に声をかけてくれた塾生も多く、大変うれしく思う。また、各キャンパスでは、『喫煙所を何とかして欲しい』、『キャンパス内に食事する場所がない』といったミクロ的課題を直接伺うことができた。生の塾生の意見を聞く機会は貴重で、良い経験になったと思う」

若林「三田の学生団体ルームや塾生会館など、実際に現地に赴いて直接塾生と会う機会を大切にした。こういった活動を通して、公約に縛られず、広く塾生からの意見を聞くことができた」

椎木「私は幼稚舎からずっと同じ人たちと接してきた。今回各キャンパスに訪問したことで、多くの塾生にお声掛けいただき、新しい慶應の側面を知ることができた。特に印象的だったのが性犯罪撲滅のシンポジウムに出席したこと。性犯罪は早急に解決すべき課題だと実感した。もちろん当選はしたいが、結果はどうあれ、大変勉強になった選挙活動だった」

前田「三人とも選挙活動を通して、気付きが多かったという点は共通しているかなと思う」

 

塾生自治(全塾協議会の存在意義)を広く伝えるにはどうしたらよいか。

椎木「SNSでしかないと思う。新しいツールをたくさん使ったり、慶應に在籍する拡散力の強い塾生を巻き込んで周知していったりしたい」

若林「日頃の活動が重要だと思う。SNSも重要だと思うが、一対一で地道に訴え、慶應に対する関心を引き出すことが大切なのではないか」

前田「今回の塾生代表選挙は立候補者の知名度も相まって広報としては成功したと思う。塾生自治を広く伝えるために、たくさんの方が関わることが重要で、その手段としてSNSの利用は有効だと思う」

 

長期的な視点について

前田「半年で実現可能な公約を掲げた。今後、長期的な視点については就任後に伝えていきたく思う」

若林「私の掲げている公約『塾生誰もが胸を張り、誇れる慶應へ』は長期的な視点を想定している。塾生のうちから慶應との結びつきを高められるような活動をしていきたい」

椎木「とくに性犯罪対策本部は継続していくことに意味があるもの。今回の候補者は皆仲が良く、お互いの公約にも賛同し合えている。誰が選ばれても、そこは共有していきたいと思う」

(後半:質疑応答に続く)