《塾生代表選挙2019》 各候補者の公約分析

今回の塾生代表選挙は、三人が立候補するなど三つ巴の様相を呈しており、各候補が掲げている公約もそれぞれ特色がある。この記事では、それぞれどのようなことを掲げているかをテーマごとに分類し、その背景も探りつつ見ていきたい。

 

慶大での不祥事に関すること

まず、慶大では不祥事が相次いでいる。昨年11月にはこの事態を受け、塾長が声明を発表したほどだ。話題性も新しいため、今回の選挙の候補者の公約にも影響を与えている。

 

まずは、立候補者1番の前田稔候補。前田候補は「不祥事から塾生を守る党」の設立を掲げている。塾生新聞が行った候補者インタビューによれば

 

“「不祥事から塾生を守る党」は塾生を対象にした啓蒙活動です。塾生・塾員による不祥事が起こるたびに、任意の塾生が社会貢献活動を行います。例えば私は福澤諭吉文明塾「若き血プロジェクト」にならい、不祥事が起こる度に献血を行います。”

 

とあり、慶大の社会的イメージの悪化を防ぐ施策となっている。

 

続いて、立候補者3番の椎木里佳候補。椎木候補は「匿名で性的暴力を告発・相談できる性犯罪対策本部を設置。NPOと連携し、匿名制で性的暴行やハラスメントを相談できる窓口を開設」を公約として掲げている。

 

これも、慶大内での事件再発防止策の一つといえる。椎木候補も“塾生代表になり、塾長や上層部との対話を通して塾生たちの声を伝え、不透明感をなくしていきたい”としている。

 

学事関連

慶大に通う塾生にとって重要になるのはキャンパスの環境の向上であり、これに関連した公約も見られる。

 

まずは立候補者2番の若林卓実候補。若林候補は「塾生の活動環境の改善(メディアの開館時間の延長・プリンターの使用を無料化)」を掲げ、塾生の学習環境の向上に努める姿勢だ。この他にも「目安箱の設置」を公約としているなど、塾生に寄り添う姿勢を見せている。

 

続いて、立候補者3番の椎木候補。椎木候補は「履修登録画面のページ改善。申告漏れを防ぎスムーズな履修登録を実現」を掲げており、こちらも塾生の履修登録を安全化し、塾生の学習環境向上につながるものとなるだろう。

 

 

全塾協議会の制度面に関すること

 

今回の選挙には、成立に必要な投票率10%を下回る7.9%だった前回の選挙の再選挙という側面もある。このように、塾生代表という存在に塾生の興味が向いていない今、塾生代表を含む全塾協議会に関しても、その制度面の変革や現構造の強化などが求められており、各候補の公約にも影響を与えている。

 

前田候補は「次期塾生代表選挙の廃止による全塾協議会の運営の円滑化」を掲げ、前回不成立に終わったこの塾生代表選挙そのものの廃止を掲げている。理由としては3年前まではこの塾生代表選挙は存在しなかった、選挙開催費用が約250万かかること、投票率が低すぎることの三つを挙げている。

 

若林候補は「サークル団体と全塾協議会所属団体の、相互の連携と協力体制の強化」を掲げており、現構造の強化を推進する公約となっている。

 

学内イベントに関して

慶大では春秋に行われる慶早戦や、矢上祭、三田祭など、学内イベントが非常に充実している。こちらに関連した公約もいくらか見られる。

 

前田候補は、「全塾協議会の予算案の団体格差の是正による学内イベント参加者数の増加」を掲げている。

塾生新聞の候補者インタビューでは

“皆さんが日頃関わる団体の多くが、予算申請に対して減額されています。学生団体間の格差があるということができます。

具体的な申請額に対しての各団体の交付額については「2018年度の全塾協議会予算報告書(URL: https://keio-zenkyo.net/activities/ )をご確認ください。

そこで、第2の公約で掲げた塾生代表を全塾の指名制により選出することで、最大250万円の財源を確保し、減額された学生団体を中心に給付をします。

そうすることで、早慶戦や学園祭など各学生団体が企画する塾内イベントに、各学生団体が快く参加出来る空間を作り、参加者数増加につなげられないかと考えています。“

 

と述べている。この公約は、学内イベントの参加者増加の推進の他に、学内格差の是正という面も見られるものになっている。

 

若林候補は「各体育会の慶早戦の広報活動、塾生の動員強化」「各キャンパスの学園祭の広報活動、塾生の動員強化」を掲げ、参加者増加による学内イベントの振興を促しているものといえる。

 

椎木候補は、「起業家養成講座を立ち上げ、毎月起業家主催のシンポジウムを実施」を掲げており、自身が中等部3年時に株式会社AMFを設立。高校在学中には「女子高生社長、経営を学ぶ」を出版した背景から、新たなイベントを実施することで、塾生の起業をサポートする公約を掲げている。

 

このように、各候補それぞれ毛色のことなる公約を掲げており、独自性あるものとなっている。しかし公約はあくまで「公約」であり、必ず果たせるとは限らない。各候補にとっての正念場は現在行われている選挙ではなく、当選した後の6ヶ月の任期にあると言わざるを得ないだろう。塾生は投票・開票後も、選ばれた塾生代表の行動に注視する必要があるのではないだろうか。