▼準々決勝・桐蔭学園 4–6 慶應義塾

第100回全国高等学校野球選手権記念北神奈川大会は24日、横浜スタジアム(横浜市中区)で準々決勝が行われ、4強全てが出そろった。慶應義塾高(塾高)は桐蔭学園との一戦を6–4の接戦で制し、2年ぶりに準決勝の舞台へ。決勝進出をかけ、26日に横浜スタジアムで東海大相模と戦う。

塾高のこの日の先発は、森林監督が今後のキーマンとして挙げた渡部(3年)。初回、いきなり一死満塁のピンチを背負うも、三振と右飛で切り抜ける。二回に1点を失うが、その裏には相手のミスも絡み二死二、三塁の場面から渡部が中前に2点適時打を運び、自ら失点を取り返す。

しかし四回、渡部が再び適時二塁打を浴び、試合は振り出しに。マウンドを代わった生井(3年)も五回に味方の不運なエラーから2点を失い、2–4と後を追う展開になる。

今大会で初めて相手にリードを許した塾高だったが、ベンチは落ち着いていた。直後の五回裏、無死一塁で大川(3年)を迎えた場面で、ヒットエンドランに成功。さらに主将・下山(3年)のフェンス直撃打などで一挙3点を奪い再び逆転。七回には4番廣瀨(2年)のダメ押しの本塁打で打線が盛り立てた。

九回には三塁打を浴びるなど緊張の展開は最後まで続いたが、試合は塾高が振り切り決着。再三の危機を切り抜け、シーソーゲームに打ち勝った。

合言葉は「TKO」 ついに因縁の対決へ

24日に同じく横浜スタジアムで行われた第2試合では、県相模原と今春全国ベスト4の東海大相模が対戦。試合は九回裏、東海大相模が2点ビハインドの場面から、今年のドラフト候補としてプロも注目するスラッガー・森下(3年)の2ランで同点。さらに好機は続き、一死満塁からピッチャー強襲の内野安打でサヨナラの走者が生還。9–8の劇的な勝利で4強に滑り込んだ。

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塾高の選手たちが、夏の県大会前からしきりに口にしている言葉が「TKO」だ。「TK(東海大相模、桐光学園)」を「KO(慶應)」がKOするという意味が込められている。「TKOの意地を見せたい」と廣瀨が話せば、吉川(2年)も「準決勝で東海大相模、決勝で当たる可能性のある反対側のブロックに桐光学園が控えているのは運命だと思う」と冷静だ。

塾高が前回夏の甲子園大会に出場した2008年の北神奈川大会決勝では、東海大相模を延長の末下し優勝を決めている。「TKO」を達成しなければ全国の舞台に進めないという難しさこそ、「神奈川を制する者は全国を制す」と言われるゆえんだ。ようやく甲子園を視界に捉えた塾高は、今大会の正念場を迎えようとしている。

(広瀬航太郎)