喊声 4月号

映画を観ることが好きだ。月並みな表現になるが、映画は我々に興奮や感動、笑いを、時として教訓を与えてくれる▼「俺たちに明日はない」という映画がある。大恐慌時代のアメリカが舞台で、主人公は2人の銀行強盗、ボニー・パーカーとクライド・バロウ。アメリカン・ニューシネマの先駆けとして映画史に名を残す不朽の名作だ。特にラストシーンは今でも語り草になっている▼物語はボニーがクライドに一目惚れするところから始まる。退屈な日常に飽きていたボニーはならず者のクライドに付いて強盗、殺人といった犯罪を繰り返す。大恐慌と禁酒法という時代、鬱屈とした人々の中で次第に英雄視されていく2人だが、当然、警察に追われるようになり、傷つきながらもひたすら逃げ回るだけの生活に身を投じていく▼2人が諦めず必死に逃亡し続けた理由はなんだったのだろうか。どれだけ傷ついても必死に逃げ続けた。それは単純に明日が見たいという思いからではないだろうか。彼らはそのためだけに今を必死に生きたのだ。ボニーとクライドのようにとまでは言わない。ただ我々も今をもう少しだけ一生懸命生きてみるのも悪くはないのではないだろうか。 (寺内壮)