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国立天文台に学ぶ 閏年と天文学

閏年--特別な名称がついているものの、毎回意識しないままにいつもと変わらない日常を過ごす。なぜこのようなものが設定されているのか。閏年や閏秒の歴史、仕組みについて、国立天文台暦計算室長の片山真人氏に聞いた。

 

閏年は暦と公転の差

閏年が発生するのは、人間の設定した暦の1年と、天文学的な1年に差があることが原因である。現在使用されている暦は、1582年に採用されたグレゴリオ暦で、その1年は基本的に365日である。一方、天文学的な1年とは地球が太陽の周りを1回公転することを指す。その周期は365・2422日と、グレゴリオ暦より長くなっている。そのため、暦の方が4年で1日ほど少なくなる。そこで、閏年を4年に一度設定し、その差異を調整している。

しかし、単に4年に一度閏年を設定すると、400年で3日ほど暦の方が多くなるため、100の倍数の年は閏年にせず、その上で400の倍数の年は閏年とし、さらなる調整をかけている。

 

年末の2月に日付を調整!?

閏年で2月に29日を追加する経緯は古代ローマ時代に遡る。当時は農業が社会の基盤で、暦もそれを意識して作られていた。そのため、現在の3月ごろに1年の始まりが設定されていた。2月に1日追加されたのは当時の年末に調整が入ったのが原因である。

この時、実は29日という追加のされ方ではなく、24日を2回繰り返すという手法をとっていた。これは古代ローマの日付の数え方による。古代ローマでは日付は翌月の1日などこれから先の日付までの日数差で数えていた。そのため、現在の2月に29日目を加えると、2月後半の日付にずれが発生し、儀式の日取りがずれるので、そのような奇妙な加え方をしていたのだ。

 

8時59分の60秒目

閏年に類似するものとして、閏秒が存在する。閏秒とは1月1日または、7月1日に8時59分60秒という1秒を追加するものだ。閏年と閏秒の二者の発生原因は全く異なる。閏年は地球の公転の規則性に起因するが、閏秒は地球の自転の不規則性に起因する。地球は毎日24時間86400秒ちょうどで1回自転しているわけではなく、1日に86400秒より平均して1ミリ秒ほど長い時間をかけて自転している。そのため、1000日で1秒ほど暦の方が少なくなるので、閏秒として1秒追加される。

しかし、86400秒より常に1ミリ秒長いわけではなく、誤差は毎日変動している。これは大気の運動のふらつきによる影響や、潮汐の作用が地球の自転速度を減少させる方向に働く影響で、自転の速度が常に変動しているからである。そのため、閏秒は1000日に一度起こるわけではなく、かなり不規則なものとなる。

 

時間の調整による影響

暦の改変や調整は常に問題を生じる。日本でも明治維新での改変の際、旧暦12月3日を正月1日としたために、年末商戦が消滅し経済が混乱した。現在では閏秒の調整が議論され、商取引やコンピューターの問題上、閏秒反対派が多い。

暦に基づく時間は普段から意識していないが、このような混乱を生み出すほど重要なのだ。2月29日という調整日に、時間の重要性を再認識し、時間の使い方を調整してみてはどうだろうか。

国立天文台暦計算室長の片山真人氏

 

(若松現)