慶應からノーベル賞受賞の可能性は

先月8日、京大の山中伸弥教授が日本人として2年ぶりにノーベル生理学・医学賞を受賞し、日本中が大いに沸いた。しかし慶大にも、山中教授と同じくiPS細胞に関する先進的な研究を行う岡野教授など、新進気鋭の研究者が多数在籍している。義塾からノーベル賞受賞者が輩出される可能性はあるのだろうか。義塾とノーベル賞の関係を探った。

慶大にもノーベル賞のような国際的表彰制度がある。1994年に慶大医学部を卒業した坂口光洋氏によって設置された、慶應義塾医学振興基金が提供する医学・生命科学の発展を目的として作られた慶應医学賞である。これまで獲得者31人の中で、4名がノーベル生理学・医学賞を、2名がノーベル化学賞を受賞している。ノーベル賞受賞者を輩出した実績から、慶應医学賞は医学会領域で最も権威のある賞の1つとしての地位を確立しており、国内では最高峰の威信を誇る。

慶應医学賞では多数の研究者や研究機関等から候補者を推薦してもらう。その中から国内外問わず、医学を中心とした諸科学の発展に寄与する顕著かつ創造的業績を挙げた研究者を慶應医学賞審査委員会が審査する。そして、最終候補者を塾長に報告、塾長がその報告に基づき受賞者を決定する。

第17回の今年の受賞者はスティーブン・ローゼンバーグ氏と間野博行氏である。ローゼンバーグ氏は効果的ながん免疫療法の開発、間野氏は肺がん原因遺伝子EML4―ALKの発見とその治療法への貢献が評価された。

慶大には「ノーベル賞候補者」が数多く存在している。ヒトや動物の脳や脊髄の活動に関連した、血流動態反応を視覚化するfMRIを開発した慶大訪問教授の小川誠二教授、世界最高速のプラスチック光ファイバー開発者である慶大理工学部教授の小池康博教授、学習・記憶などの高次脳機能の働きを助ける細胞内カルシウムの動態と、脳疾患との関係の研究を行う慶應義塾評議員の御子柴克彦教授らだ。いずれも理工、医学界で研究が評価されている。

東大の7分の1……研究費や施設の困難を乗り越える必要も

しかし、これまでの日本のノーベル賞受賞者はすべて国立大出身であり、研究施設・教員数・研究補助金額などの観点から私大でのノーベル賞受賞は難しいと言われている現状も。文科省提供のデータによると、私大の中では慶大の研究補助金額、及び補助金配分件数は日本1位ではあるが、東大への補助金額の約7分の1。今後塾生からのノーベル賞輩出には、さらなる補助金の支給額増加が必要とも考えられる。

日本を代表する私大として多くの優秀な人材を輩出してきた慶大。施設や研究費などの困難を乗り越えてのノーベル賞受賞を期待したい。     (在間理樹)