喊声 4月号

 昨年3月11日に発生した東日本大震災。押し寄せる津波に多くの尊い命が奪われた。連日、窮屈な避難所で家族の安否を心配する被災者の姿が報道され、言いようの無い無力感を感じた▼震災から1年たったころ、本屋で1冊の写真集を手にした。散乱するがれきに再び悲惨な現実を思い出し、同時にこんな思いがよぎった。「自分は何て恵まれているのか」▼慶大に入学する新入生は何を胸に抱いているのだろうか。一足先にライフプランを立て始めた人もいるかもしれない▼競争には勝者と敗者が生まれる。大学生活の中では挫折は付き物だ。己の不幸を嘆き、絶望することもあるだろう▼そんな時こそ、自分と向き合う時間が欲しい。必要以上に自分を責めていないか。その失敗だけで自分の価値を決めつけていいのか▼常に競争に身を置き、他人と凌ぎを削る日々に疲れた者は、一度肩の力を抜くべきだ。競争社会でマイペースを維持できる者は強い▼今の時代、「頑張れ」の一言など不要だ。適当に生きてみようくらいが丁度良い。真に不運な人などほとんどいない。気づいているだろうか、当たり前に生きている時点でもう十分なことに。    (齊藤貴仁)