《塾員インタビュー》四代目 市川猿之助さん

 「大人になったら、大学時代に戻りたいと必ず思うようになります。だからこそ、時間を大切にしていろいろな経験を積んでほしいです」

大学時代についてこう語るのは日本を代表する歌舞伎役者、四代目 市川猿之助さんである。
慶大の文学部出身で、歌舞伎だけではなくテレビドラマや映画などでも活躍している猿之助さんに、慶大生としての思い出や大学生活の醍醐味について話を聞いた。

 

授業と麻雀の学生生活

家族に慶大出身の人が多く、三田キャンパスが家からとても近かったことから慶大に入学したという猿之助さん。歌舞伎の稽古や公演を挟みつつ、学生生活を謳歌できたと振り返る。「徹夜で友人と麻雀をしていました。夜中まで三田で麻雀をして、そのまま学校へ行く、みたいな生活でしたね(笑)」

その一方で授業は一通り出席し、全ての科目でA(当時の最高評価)を目指すなど、学業に対して高い意識を持っていたという。「特に1年生のときはいろいろな経験を積もうと、あえて興味のない授業を取っていました」

 

慶應義塾という大学

猿之助さんは、慶大の卒業生による強いネットワークは、人生においてとても価値のあるものになると話す。「大学でできた友人関係は一生のものになりましたし、『慶大卒』というだけで仲間意識が芽生えて、社会でつながるということもあると思います」
そして、自身が学生だった頃の慶大について、「バンカラなイメージの強かった早稲田と対照的に、お坊ちゃまが通う特別な学校というイメージが強かった時代でした」と振り返った。今でもキャンパスの近くを通った際には、どんな学生が慶大に通っているか、様子をうかがうこともあるという。

 

スーパー歌舞伎

『ワンピース』など、現代の人気作品を歌舞伎として上演し、エンターテイメント性の高さから多くの観客の支持を集める「スーパー歌舞伎Ⅱ」。猿之助さんは先代から受け継ぐ形で座頭を務め、大成功に導いた。
スーパー歌舞伎に臨む姿勢として、「伝統を守る」ということを意識しすぎないことが大切と語った。「守ろうと思って守るという姿勢をとるのではなく、最大限の努力の結果として伝統が守られていくという意識を持つことが、成功のために大切だと考えています」

 

授業の価値を知る・いろいろな経験を積む

「大学時代にもっと勉強すればよかったと今となっては思います」と語る猿之助さん。果たして、学生生活においてどのようなことが大切だと考えているのか。
まず、1コマの授業にいったいどれだけの学費が支払われているか意識することが重要だと話す。「一つ一つの授業にどれくらいの価値があるかを知ることで、漫然と時間を過ごすことが少なくなると思います」
そして、今までやってこなかったようないろいろな経験を積むことが最も大切だと猿之助さんはいう。
「就職のことだけを考えて4年間を過ごすのはもったいないです。例えば、長期休みにはたくさん時間がありますから、自分にとって驚きに満ちた体験ができる国へ旅行に行くというのはとてもいい経験になると思います」

今や日本を代表する歌舞伎役者として活躍を続ける猿之助さんも、かつては「等身大の慶大生」として大学生活を送っていた。新年度がはじまる今、あなたはどんな大学生活を思い描いているだろうか。

(松岡秀俊)

 

【プロフィール】
四代目 市川猿之助(よだいめ いちかわえんのすけ)
歌舞伎役者・俳優。
慶應義塾大学文学部国文学専攻卒業。
父は四代目市川段四郎、伯父は三代目市川猿之助。
1983年に二代目市川亀治郎として初舞台。2007年にはNHK大河ドラマ『風林火山』で武田信玄として出演。2012年に四代目市川猿之助を襲名。