2014年、音楽番組『BREAK OUT』(テレビ朝日系列)から誕生したトータルエンターテインメント集団「Candy Boy」に2期生として加入し、約10年間にわたり活動してきた前田さん。2024年7月のグループ解散後は、同年9月より配信されたNetflixのオーディション番組『timelesz project』(通称・タイプロ)に挑戦。四次審査で惜しくも脱落するも、経験を糧に2025年からソロアイドルとして新たな一歩を踏み出した。芸能界という舞台で挑戦を続ける彼に、芸能界に飛び込むきっかけとなったミスターコンテストや学生時代、そしてソロアイドルとして描く現在と未来について話を聞いた。
──はじめに、ソロデビューを迎えられた経緯について教えていただけますか。
最初は自分自身オーディションが終わったらどうするかを決められていなかったんですけど、その段階で応援してくださっている方に対してなにか形にしなきゃ、ということで動き始めてソロ活動が始まりました。
──ソロデビューを決意した時に1番大きかった悩みや不安はなにかありましたか。
始めるにあたっては特に悩みや不安はなく、やるぞ!の気持ちが強かったので基本的にネガティブな気持ちはあまりなかったんです。でも今までグループで活動してきたというのもあって、やっぱり始めてから(こういうところも1人なんだ)と思うことはありました。
これまで事務所に所属して活動していた分、今は完全にフリーなので、自分がやってこなかったやり取りがあったり、本番を迎えるにあたって、これまでは本番に集中だけできていたのが、今は色々な人とやり取りがあったり、そのステージを作るための事前の準備があったり、学ぶことがたくさんあって。
そこら辺はソロ活動を始めてから、今まですごく大変なことをスタッフの方々にお任せしていたのだなと気づくところがたくさんありました。
──今もその不安はありますか?
めっちゃ不安ですよ!(笑) 例えばビジネスでのやり取りって、自分がグループのメンバーだった時にはやったことないんです。こうやって今回も取材をやらせていただくってなった時に、ある程度フォーマットがあるわけじゃないですか。『何何様 お世話になっております』みたいな、そういうのも合っているのかなとか、失礼ないかなとか、考えることが沢山あるし、これからもきっとあるんだろうなと思っています。
笑顔でソロ活動について話す前田さん。
そんな彼に芸能界に入る前の学生時代について聞いてみた。
──学生時代の自分を振り返ると、どんな人間でしたか?
多分今とあまり変わらなくて、特別なことはなく、ちょっとインドアで、友達は少なめだけど楽しく遊んで、という普通の学生だったと思います。他の人より少しだけ保健室に行く回数が多かったくらいですかね。(笑)
──学生時代はサークル活動などに参加されていましたか?
高校時代は部活動を真っ直ぐ頑張って、大学に入学してからはアルバイトをしてお金を稼ぐ大変さを学びました。
──大学時代に学んだことは、今どのように活きていますか?
様々なことに活きています!人との関わり方や何かを吸収して学ぶやり方、いい意味での手の抜き方など(笑)。その時は感じられなくても時間が経ってから気づいた大事なものは沢山あったし、意味のない時間はなかったと思っています。なにより、それらに意味を持たせる今の生き方を出来ているのも大事なことですね。
──大学時代にミスターコンテストに参加した経験は今の活動にどんな風につながっていますか?
それまで学校でも委員長になったり、文化祭でなにかやったりとか、人に見られるようなことが全然なかった人生だったので、やっぱり生きる道が1つ変わるポイントになりました。そのコンテストで自分がうまくいっていたかどうかはわからないですけど、自分の土台になっているいい思い出だったなという風に思います。
──その経験がなかったら、今とは違う自分になっていたと思いますか?
さすがに違うんじゃないですかね、どうなっていたんだろう。ミスターコンテストをとある事務所の方が見てくれて今芸能活動をさせてもらっているわけではあるので、その経験がなかったら、芸能の道に進んでいなかったかもしれないです。保健室の先生になりたかったかもしれません。(笑)
──逆に芸能界に入る前から変わらない信念などはなにかありますか?
最終的に自分の判断に任せたいって気持ちがいつも強くて。人のせいにすることが嫌いなので、なにかあった時に自分のせいにできるよう、これ決めたのは自分だっていつも思えるような選択の仕方をしているのは、学生の時から変わっていないかなと思います。
──芸能界に入ることを進めることを真剣に考え始めたのはいつ頃でしたか。
これも、始める前に「よし、やるぞ。行くぞ!」と言って始めたというよりかは、どんな感じなんだろう?のまま気づいたら表に出る立場になっていたので、覚悟を持ってから挑むというよりかは、少しずつ形成されていった感覚がありました。今でもきっとそれは完成されているものではないのかなと思っています。
1人で活動しているのも、ソロでやるぞ!という覚悟がしっかり固まってからしているわけではなく、やりながら少しずつ応援してくださる方の思いや、自分がやってきたことを振り返ってみて、固まっていっているものなのかなと思っています。
──周りが就職活動などしていく中で、自分はこの道を続けようと決めたきっかけなどはありましたか。
大きなきっかけはないんですけど、とにかく楽しかったからですかね。単純に自分にこの仕事が向いているなと思えて、やっていて楽しいなと思えたんです。あと、普段は賭け事だとかはあまり好きじゃないし、全くやらないんですけど、この職業を選んでいること自体がまあまあ大きな賭け事を楽しんでいるという感じです。
成り行きで始めた芸能活動を10年続けた前田さん。
2024年には大規模な公開オーディションに挑戦した。
──2024年の『timelesz project』はそれまでの挑戦とは違うものでしたか。
そうですね。Candy Boyというグループで約10年ぐらい活動してきた中で、基本的には仲間と一緒に何かをすることが多かったんです。その中でも仲間よりも頑張るぞとか、それぐらいの競争意識はありつつも、基本的には本当に仲良く活動していたので競うっていう感覚が自分の中であまりなくて。オーディションっていうのは結局誰かが落ちて誰かが残って、というものではあったので、そこはすごく新鮮な気持ちになりました。もちろん楽しかったこともあるんですけど、簡単に楽しかった、とか、思い出です、とか言って終わらせたくなくて。ちゃんと悔しい気持ちもあった分美化せず、人生を変えてもらった側として、責任を持って芸能活動を精一杯頑張りたいなって気持ちがありますね。ここで僕自身が自信を持ち、胸を張れる活動をしていなかったら、オーディションを心から見ていた人に対して誠実じゃないなと思うので。
──オーディション前とオーディション後で自分の考え方や物事の捉え方などはどのように変わっていきましたか。
もちろん、ありがたいことにお仕事やお客様の単純な数は変わりましたけど、基本的に僕のやっていることはあまり変わっていません。自分がグループ活動をしていた時にこれが合っている、これが素敵だ、って思えたものを証明したいんです。今もその当時信じていたものを自分なりにアレンジして表に出している状態なので、基本的に考え方だとかやり方だとかは変わっていないかと思います。
── 自分の身の回りの環境などで変わった点などは。
今までと違って、僕が0番のセンターに立っていればいいし、僕がどこに行っても成り立つことが寂しい部分でもあるし、「1人だな」と思う部分です。なおかつ、グループにいるときはそれぞれのメンバーに対しての視聴率があって、1人が100%になることっていうのはほとんどないんです。でも、1人になってからは僕のことを見に来ている人しかいないし、僕しか立っていないから、それが大きなプレッシャーになっているなというのは感じました。
メンバーがいるときはメンバーと支え合ったりとかして、あまり本番前に緊張するタイプじゃなかったんですけど、1人になってからはすごく緊張するようになりましたね。これは踊りとかだけじゃなく歌もそうで、グループでいるときは多少1人が乱れても、みんなが支えている分、音はちゃんと聞こえるんですけど、1人で歌っていると僕が抜けたら音が完全になくなってしまうので、そういうところも大変だなと感じています。
──今ソロ活動している中で、仲間と言えるような人は誰ですか?
もちろん関わってくださるスタッフの皆様は本当に仲間で、関わってくださる方がいるからこそ今活動できているんですけど、ソロになってからは応援してくださる方々をより仲間だなと感じることが増えました。最初は「一人でやっているな」と思っていましたが、今は、僕がステージにいる側で、皆さんは客席で見ている側ではあるけれど、一緒になって同じものを作っているなという感覚をすごく強く感じています。
特に9月に開催したバースデーイベントですと、誕生日にちなんで応募してくださったお客様の気持ちをバルーンに変えて、バルーンだけでステージの装飾を作ったんです。そういうのを見た時に、僕の出し物は僕だけが用意しているんじゃなくて、きちんと準備して見に来てくださっている、応援してくださっている皆様がいるからこそ成り立っているんだなと思った時に、これも1つの仲間だなってすごく強く感じましたね。
一貫した考え方を語る前田さんに、将来に悩む学生たちへのメッセージを聞いてみた。
──学生時代に描いていた「なりたかった大人像」と、今のご自身はどのように違いますか?また、現在「なりたい大人像」はありますか。
今の自分に「大人」としての認識がまだ持てていないかなと思います。まだまだ僕が思い描く大人には程遠いので、一日一日何気ないことにもしっかりと感謝して、意味のある時間を積み重ねていきたいです。
──今挑戦したいけど迷っている人が1歩踏み出すためにどんな考え方や行動が大切だと思われますか。
これって、部屋の片付けとか歯磨くとかと同じだと思うんです。歯磨くの面倒くさいじゃないですか。面倒くさいけど、いざ始めてみたら面倒くさいって思わなくないですか?(笑) 部屋の片付けもそうだけど、なんとなく始めてみるでも全然いいと思っていて、やっているうちにやる気とか覚悟とかっていうのはついてくるものだと思っているんです。なので、ちょっと触ってみたり、ちょっとだけやっていくうちにそれが楽しかったり、逆にちょっと違うかもなって気づけたりもすると思うので、やる前に悩んだり考えたりは僕自身あまりしないし、そのやり方がおすすめかな。
──今将来に迷っている学生に何か一言。
僕自身、迷うことをあまり悪いと思っていないので、迷う時間はあっていいんじゃないかなと思います。迷うとか悩むってこと自体が、なんとなくネガティブに捉えられがちですけど僕はあまりそう思っていなくて。その時間があるから結果何かに繋がっていると思うので。迷ってはいるけど、いつか思い出した時にその迷っていた時間も意味があったなと思えるような最終的な選択ができるなら、迷う時間をネガティブに捉えなくていいんじゃないかと思います。
最後に前田さんのこれからの活動について聞いた。
──ソロ活動における今後の展望は。
2025年からソロ活動を始めて、すごい速さで色々決めて、たくさん協力してもらいつつも、大分猪突猛進に進んできちゃったので、緻密な計算ができているかって言われると、まだちょっと曖昧なところももちろんあるんです。だけど、今活動している中で何か記事にされる時とかに「タイプロの前田大翔」と書かれることが多いんです。多分1番最初のこの枕言葉が変わらない限りは次のステージにいけないなと思っていて。
僕は多くの人に見てもらいたいという気持ちはもちろんあるんですけど、今応援してくださっている方々を大きなステージに連れていきたい気持ちが強いので、この枕言葉をどうにか自分の活動で変えていって、今いる自分のステージをもう一段階あげたいです。
──今後の活動で、直近で取り組んでいることや、近いうちに 挑戦したいことはありますか。
現状、自分が開催するイベントなどで自分のことを好きな人に見てもらう時間というのは割と作れてきたとは思っているんですけど、また違った世界に飛び込むというか、もう少し自分の中の軸を増やしたいと思っています。
例えば俳優活動とかバラエティとか、自分の戦えるフィールドを増やしていくことによって、また1つ世界が変わるんじゃないかなと思っています。
──今年発表された映画出演は今までとは違う挑戦となりますか?
そうですね。舞台などには今までも出ていたんですけど、ちゃんと映画に出るというのは初めてだったので、こうやって経験を少しずつ重ねていって、「俳優」として見られることがあってもいいと思っているので、これからもそういう入口を作っていけたらいいなとも思っています。
──今の自分を一言で表すとしたらどんなアイドルですか?
修行中ソロアイドルだと思います。まだ正直、完璧だとか出来上がったものだと言える状態ではないし、僕の性格的に一生"完璧"と言うことはないと思うんです。だけど、応援してくださる方々からいただくアンケートなどから、少しずつ僕自身が形成されていっている段階だと思うので、未完成だからこそ、その未完成を皆様と一緒に作っていくソロアイドルなのかなと思っています。
──今一番修行しなければいけないことはなんですか。
もちろん色々あると思うんですけど、なんだかんだパフォーマンスかなと最近は思っています。それを見せるための準備ややり取りを頑張った約1年なんです。だけど本来自分が1番頑張らなければいけないのはステージに立った時だし、より良くしていける伸びしろは自分自身でも感じてるのでそこは修行していきたいです。
──最後にファンの方へ一言。
誰かを応援することって、あまり簡単なことじゃないと思っているので、その時点で僕はすごく尊敬しているんです。
だから、応援していく中で周りが気になることだとか、自分がこれで合っているのかなと思うことがあると思うんですけど、そんなこと気にせずに前だけ見て、好きっていう気持ちに正直に生きてくれたらいいな、と思っています。
こうして記事を最後まで読んでくださり、いつも応援ありがとうございます!あなたの想いは届いてます^_^
前田大翔(まえだ・たいしょう)
1995年生まれ。2014年に「Candy Boy」に2期生として加入し、約10年間活動。2024年『timelesz project』に参加。2025年よりソロアイドルとして活動開始。歌・ダンスに加え、俳優としても活動の幅を広げている。
(桐井希海)