1985年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、株式会社旭硝子へ入社。1997年、同社シンガポール支店勤務を経て、株式会社旭硝子を退職。1998年、ファーストリテイリング社の柳井正氏と出会い、ファーストリテイリングへ入社。2002年、ファーストリテイリング代表取締役社長兼COO就任。2005年に同社を退職し、元ファーストリテイリング副社長の澤田貴司氏と共に株式会社リヴァンプを設立し共同代表に就任。2011年3月、ローソン副社長執行役員兼最高執行責任者に就任。 玉塚元一氏。
1985年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、株式会社旭硝子へ入社。1997年、同社シンガポール支店勤務を経て、株式会社旭硝子を退職。1998年、ファーストリテイリング社の柳井正氏と出会い、ファーストリテイリングへ入社。2002年、ファーストリテイリング代表取締役社長兼COO就任。2005年に同社を退職し、元ファーストリテイリング副社長の澤田貴司氏と共に株式会社リヴァンプを設立し共同代表に就任。2011年3月、ローソン副社長執行役員兼最高執行責任者に就任。 玉塚元一氏。

 

今回、株式会社ローソン副社長兼最高執行責任者の玉塚元一氏に会社経営および成功の秘訣を教えていただいた。

玉塚氏は慶應義塾大学法学部政治学科卒。大学時代はラグビーに熱中し大学選手権準優勝を成し遂げた。経済の根幹だと考えていた製造業、そして海外での活躍を希望し大学卒業後、株式会社旭硝子に就職。「13年間の仕事の中で海外においていろいろな仕事をさせていただいた。そこで事業を創造する事、チームを率いる事のおもしろさを体感出来た」と述べる。

海外での経験を契機にその後、ファーストリテイリング社に入社。ユニクロの急成長に貢献した後、自らの力で起業することを志していた玉塚氏は、株式会社リヴァンプを設立。会社名の通り、業績が悪化した企業、リソースが不足しているべンチャー企業等の経営に直接参画し、小売・流通をはじめとしたさまざまな企業の再生、成長支援に取り組んだ。リヴァンプは現在グループ総勢100名を超える社員が日夜、企業の再生・活性化に取り組んでおり、日本では非常に珍しい、価値ある企業へと進化を遂げている。ユニクロ、リヴァンプでの経験を経て、ローソンとの出会いが生まれ、現在同社COO(最高執行責任者)及び、CVS(コンビニエンスストア)事業CEO(最高経営責任者)として同社の経営に全エネルギーを注いでいる。

このような多くの会社での活躍に対して玉塚氏は「転職を通じたキャリアプラン等を考えた事は一度もない。与えられた目の前の機会に一生懸命向き合っていると次のチャレンジが訪れる。それに真摯に向き合い、その都度現れる難解な壁に全力投球で挑戦してきたら現在に至っただけである」と自身を振り返る。




新たな会社での心構えとしては「その会社のどこが強みで何が弱みかを理解することは当然」と述べた。加えて、「外来者であるがゆえの客観的な見方を生かす。会社の歴史的背景やDNAをしっかり理解し、難題に果敢に向き合い、仲間からの信頼を勝ち取る事が重要」と語った。「仕事や事業の世界では、与えられた課題をしっかりとやり遂げなければ信頼を勝ち取ることはできない」と、社内でのゆるぎない信頼を掴み取ることが新転地での最初の試練であると話す。

また世の中の変化が激しい中で、顧客のニーズに合わせた商品の提供が重要である小売業経営において大切なことを伺った。「時代の流れが変わってもその会社が必ず共有しなければいけない価値観、共通のルール・達成しようとする目標の明確化と全社員での完全共有が重要」。また、「お客様の求めているニーズの変化にアンテナを立て、誰よりお客様を深く理解し、柔軟に対応する。お客様の期待を超え続ける商品・サービスを開発、提供し続けられる組織としての基盤、能力、文化を創造することが経営の本質」と語った。

「会社の存在意義、目標達成、また消費者の動向や世情の変化に沿った商品やサービスの提供は壮大なチームワークが不可欠」と社員が一丸となる風土や組織体づくりの大切さについても話した。

大学時代に専念したラグビー部での活動を、「ものすごく厳しい練習の日々だったが、あの経験を通じて恐れるものは無くなった」と振り返る玉塚氏。「山中湖の夏合宿では猛練習のあまり気を失う事も何度もあったが、努力すれば必ず結果が得られるということを実体験できた事は本当に幸運であった」。

その経験は現在の活躍にもつながっている。「何事でも逃げずに向き合い、全力で頑張るという意気込みが大切。結果が出るかどうかは問わずに自らチャレンジしていき、努力する自立型の人間。そういう人間は成長するし、組織はそれを求めている」と、急成長企業で活躍なさっている玉塚氏らしいお言葉をいただいた。

今後我々の身近にあるローソンがどのように進化、成長していくのか見守っていきたい。

 

(下池莉絵)