今年度慶大の一般入試願書受付が1月25日に締め切られ、志願者数が今月3日に確定した。志願者数は昨年度比302人減で、昨年度に引き続き減少傾向にあるものの、3桁台におさまった。今年度の一般入試は2月12日の薬学部に始まり、3月3日の医学部第2次試験に終わる。合格発表は2月21日から順次行われる。      (佐藤万貴)

今年度の一般入試における変更点は、法学部と薬学部のセンター試験利用をやめたことの1点のみ。

志願者数は全体では微減し、4万3265人となった。前記の変更があるため単純な比較はできないが、昨年度、一昨年度が1500人以上の大幅な減少であったことと比べると、昨年度比0・7%減の302人減少と、小幅に留まっている。減少傾向の要因としては、不況の影響によって、経済的理由を考慮した地元志向、国公立志向、そして確実に受かる大学に焦点を絞った安定志向が続いていることなどが考えられる。特に進学校では、志望分野や志望校は高校1・2年の段階で考え始める人が比較的多いため、今の経済状況を考えれば、この傾向はこの先もしばらく続くのではないかと慶大入学センターは分析している。

学部ごとに見ると、経済状況が悪い時代は一般的に、将来を考慮した上で、自分で夢や目標を探しながら勉強していく人文・社会科学系の文系学部よりも、目的が明確な勉強ができる理系学部や、資格の取れる学部に人気が集中する傾向がある。実際今年度も、看護医療学部、薬学部薬科学科と理工学部の、特にメカニクス分野の学門4と、情報を扱う学門5が増加した。一方で文学部、経済学部は文系学部ながら増加傾向にあるなど、つかみきれない点もある。これは、志願者数が前年のものに影響されることも関係していると考えられる。減少が目立つ学部は法学部と環境情報学部である。法学部の減少は、新司法試験の合格率が全国的に下がったことが、受験生の進路選択に大きな影響を及ぼしたのではないかと推測される。

全体的な志願者数としては、東日本大震災大震災の影響も懸念されていたが、被災者への入学検定料と入学金の免除などの特別措置を早い段階に打ち出し、できるだけ機会が平等に提供できるように心がけた結果、大きな影響は出なかったようだ。

例年と比べた難易度についても、入試方式の変更や志願者数の増減による大きな変化はないとみられている。