
「uniぼらんて」というサークルをご存知だろうか。慶大日吉キャンパスには広大な緑地「日吉の森」が隣接している。uniぼらんては、この日吉の森の保全活動を行なっているサークルだ。uniぼらんては日吉の森でどのような活動を行っているのか。そして日吉の森にはどのような魅力があるのだろうか。uniぼらんて学生代表の大野さんに話を聞いた。
【uniぼらんての活動 】
uniぼらんては2012年に発足した。現在は自然や生き物に関心を持つサークル員約40名で構成されている。かつては手入れがなされておらず、荒れてしまっていた日吉の森。uniぼらんてはこの荒れてしまった森林を整備し、豊かな自然を守るために活動を行なっている。当初はボランティアサークルとして始まったuniぼらんてだが、今後は森林保全に注力した新団体「日吉林遊会」としての活動も予定されている。
主な活動内容は、苗木の育成や植樹だ。クヌギやコナラといった陽樹の苗木を安全な環境で育成し、森の中に植えることで、森林内の多様性を保つ活動である。
遊歩道の作成も活動の一つだ。現在の日吉の森は草木が生い茂っていたり、地面が整備されていなかったりと歩きにくい部分がある。そこで歩きやすい遊歩道を作ることで、気軽に森の中へ足を運べるようにする予定だそうだ。ただし遊歩道は未完成であるため、今後入れるようになる可能性はあるものの、まだ一般の学生は立ち入ることが出来ない。他にも枝の手入れや草刈りなど、森の中を気軽に散策できるようにするための整備を定期的に行っている。
また日吉の森の中には実のなる植物が存在しており、uniぼらんてではこうした植物の飼育や実の収穫も行っている。採れた果実を活用し、ビワの実ジャムやドングリのクッキーなどを作っているそうだ。
uniぼらんてはこうした活動を通じ、日吉の森を自然と触れ合える憩いの場にすることを目標にしている。
【日吉の森の見どころとは】
日吉の森の興味深い点は、まずなんといってもキャンパスと直結して森が存在することだろう。日吉記念館の裏という非常にアクセスしやすい場所に位置しており、気軽に訪れることができる。森の中は見応えのある動植物でいっぱいだ。オニユリなどの美しい花や、前述したようにビワやドングリといった実のなる木もある。蝶やカブトムシといった、多種多様な生き物を見られるのも興味深い。運がいいとたぬきが見られることもあるらしい。
日吉の森は季節ごとにさまざまな顔を見せる。春から夏までの暖かい季節は、賑やかな木々や花々が楽しめる。例えば、春の桜。夏の紫陽花。ビワの実がなるのも夏の時期だ。
秋から冬にかけては、くつろぎやすい環境が魅力的だ。この時期は日当たりがよく、森の中は乾燥している。また蚊などの虫も少ない。そのため快適に森の中で過ごせる季節となっている。秋は紅葉が見られるのも注目ポイントだ。そして紅葉の季節が過ぎ冬になると、生い茂っていた草が落ち着き、それまで草の下に息を潜ませていた生き物が見られるようになる。こうして季節の移ろいを感じられるのは、日吉の森の大きな魅力だ。
木々の溢れる日吉の森だが、実は杉などの花粉症を引き起こす木はあまり生えていないらしい。花粉症の季節には、逃げ場としても活用できるかもしれない。
【実際に自然に触れる】
自然豊かな日吉の森。訪れる際には、どのようなことに注意すればよいのだろうか。まず、服装は長袖長ズボンが望ましいという。特に夏の時期は虫刺され対策として、露出の少ない衣服が求められる。動きやすい運動靴も必須だ。
大野さんは「大学内に自然が残っているのは貴重なこと。整備された都会で生活していると、自然に抵抗があるかもしれない。しかし、森の中は入ってみると想像よりも綺麗なところだ。せっかく慶大に入ったのなら、ぜひ一度は日吉の森に入ってみて欲しい」と語る。新緑芽吹くこの季節に、日吉の森で自然に触れてみてはいかがだろうか。
(安田理子)