秋、それは実りの季節。たわわに実った稲穂がこうべを垂れ、惜しげもなくさらされるうなじに、思わず息をのむ季節。秋、それは彩りの季節。夏を鮮やかに飾った新緑の乙女たちが頬を染め、あたらしい表情を覗かせてくれる季節。

そして秋、それはきっと出会いの季節。

夏の暑さも衰えを知らず、都会の喧騒がさらに拍車をかける日のこと。「初めまして~」豊穣の女神が運んだその出会いに、僕は運命を感じずにはいなかった。彼女の名前は澤口実歩さん。文学部人間科学専攻の3年生だ。

大人の魅力を漂わせる彼女は、ときたま見せる少女のような満面の笑みで見るものを虜にする。「うわぁ~すごい!」期待と驚きに見開かれた乙女の双眸が捉えるのは、以外にも肉々しいチーズハンバーガーだ。見るからに甘そうなオレオシェイクを口元をほころばせながらほおばる彼女は、何を隠そう食べることが大好きなのだという。地元岩手の盛岡冷麺の魅力を紹介する一方で、こよなく愛する食品は鶏肉だという。「このコブサラダのチキンめっちゃおいしい!」

―こんな笑顔で食される鶏ほど幸せな鶏はいるまい。




そんな魅力的な彼女が秘めるもう一つの側面は、とっても努力家であるというところだ。メディア系の仕事を志す彼女にとって、日々の勉強は怠ってはならないことであり、先の見えないものでもある。ひたむきに頑張る乙女の眼には、何が映るのだろうか。僕は、陰ながらでも応援せずにはいられない。

さて、長々とした前置きはここまでにしよう。このコーナーの読者が最も気になっていることはもちろん、どんな男性が好みかということだろう。「誰にでも優しい人が好きなんです」あぁ、なんたることか。このように言われてしまっては「もしや、自分のことなんじゃないか」などと僕は期待を抱かずにはいられない、きっとこの勘違いを、読者諸君は否定しきれないに違いない。悲しいかな、こう思ってしまった僕らは、彼女の小悪魔的魅力からは逃れられなくなってしまった。いや、それもしかたない。一瞬いっしゅんでコロコロと表情を変えるあまりに魅力的な彼女に、きっと僕らは、心奪われずにはいられないのだから。

(おまいつのわで)

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撮影・服部友俊