受験生の中には、迫りくる受験と入学後の大学生活に一途の不安を覚える人もいるだろう。今回は生徒から絶大な人気を誇る、河合塾日本史科講師の坂本勝義先生に、日本史での受験とその後の大学生活をテーマに話を聞いた。

 

慶大受験生に向けての激励メッセージ

慶大受験生の皆さん。普段の力を出し切れないということは避けなくてはなりません。そのためにもまずはしっかり自分の力が出せるような環境を作り、試験に臨むことが大切です。入試は数を打てば当たるものではないので、一つ受けるたびに「ここしかない」という気持ちでやってほしいと思います。

問題を解いていて「分からない」ということがあると思います。その時はお世話になった先生方の顔を思い浮かべてみましょう。声が聞こえてくるかもしれませんよ。気持ちの切り替えをうまくしつつ、入試を一つ一つ乗り越えてほしいと思います!

慶大日本史を解く際に気を付けなければならないこと

学部関係なく、慶大日本史はとにかく時間配分が勝敗を分けます。配点の高い語群補充問題は、解けるものから埋めていき、分からない空欄は語群を吟味することで正解に近づけていく必要があります。そのため、語群を吟味する時間をいかにして作るかが重要になってきます。慶大特有の難問奇問は解ける必要はないですが、過去に何度か出題された難問は解けるようにしておいてほしいです。解けるか解けないかで大きく差がついていきます。

論述問題を課す学部では、難度の高い論述問題に時間を取られてしまい、比較的平易な語群補充や正誤問題などで点を落としてしまっては元も子もありません。はじめに短答形式の問題を解き、論述問題は最後に解くのが得策だといえるでしょう。

 

高校生が日本史を学ぶ意義とは

歴史を学ぶこととは、「常に批判的な目で物事を見る訓練をすること」、つまり、当たり前だと認識されてきたことを良い意味で疑ってみることだと思います。こういった姿勢が、歴史以外の物事も自分の目で見て何が正しいのかを考える習慣につながっていきます。史資料によって現在の歴史認識があるわけですが、新たな史資料の発見によって歴史認識が変わることもありますよね。

現在、私たちはインターネットなどを通じて真偽さまざまな情報を手に入れることができます。歴史を学ぶことを通じて批判的に物事を見る姿勢を身につけたことが、結果的にこれらの情報を精査する力につながっていくのです。

 

生徒を指導する上で心がけていること

常に生徒目線で授業するようにしています。予備校の講義は一方通行だと思われがちですが、実態は大きく違います。特に予備校の対面授業の良さは、生徒の反応をみながら授業のやり方を変えることができるところだと思います。私は、常に生徒を見ながら反応が悪ければ雑談をはさんだり、板書のタイミングを変えたりすることで、授業が一方通行にならないように気を付けています。

授業は生徒に寝られたら「負け」です(笑)。大教室であろうと最後列まで目配りをして、常に生徒に変化を与えるようにしています。

 

大学入学後にやってほしいこと

遊びも大事ですが、まずは勉学に励んで欲しいですね。また、学生の時に誰にも負けないものを何か一つを極めてほしいと思います。自分の強みを持っていると、社会に出てから大きな武器になりますから。将来何をやりたいか具体的に決まっていない学生も多いと思うのですが、大学は受け身の姿勢では何も始まりません。自分から積極的に行動することが大切です。

 

入試を「一つ一つ大切に」受けるべきだと語る坂本先生。大学受験に限らず、社会に出てからも大切な考え方だろう。

(水口侑)

 

【プロフィール】

坂本勝義(さかもと かつよし)

河合塾日本史科講師。日本史科の中心メンバーとして「東大オープン」「早慶大オープン」をはじめとする模試や、教材の作成とその仕事は河合塾のカリキュラム全般にわたっています。
東大クラスをはじめ、早慶大クラスでは新宿校・秋葉原校・横浜校で授業を担当。入試に必要な情報を精査し、受験生に効率良く分かりやすく伝える指導には定評があります。