【特別インタビュー】主将 田上和佳・自分らしいキャプテン像とは

トーナメント(関東大学バスケットボール選手権大会)優勝という好調なスタートをきり、決勝後のインタビューでチームの支柱である主将・田上は、春シーズンを以下のように振り返った。
「(京王)電鉄杯のときは、メンバーが揃わなかったり二ノ宮が抜けていたりということで、自分がやらなきゃっていう感じだったんです。トーナメントでは、チームの動きや試合の流れっていうのを考えていて、積極性が失われていたんです。でも、周りの支えがあって、少しそこを超えられたかなっていう感じはあるので、キャプテンとして試合の流れを読み取りつつ、積極性を出していくっていうところを少し掴みかけられたのかなと感じます。ただ、ここからがスタートラインだと思うので、これからどんどん色んなことを吸収して、いいキャプテンになりたいと思います」
言葉の最後に、「これからどんどん色んなことを吸収して、いいキャプテンになりたいと思います」とある。この夏、彼が何を吸収し、何を考え、数日後に始まるリーグ戦を迎えようとするのか、その心境に迫った(インタビューは2009年9月7日に行われた)。

―春シーズンが始まった当初は、キャプテンというプレッシャーを感じていたように思いますが、今はどうですか?
「キャプテンとしてこうあらなきゃいけないとか、自分の中の感情を追っていた時は、自分に自信が持てない、自分は何をやっているんだろうとか、分かりませんでした。自分に自信が持てないとチームメイトにも正しく接しれないし、僕が出すオーラをみんなに不安や戸惑いを与えていたと感じていたので、今はちょっとですけど、自信が戻ってきて、こうしていこうという風に芯みたいなのが出来てきて、前よりもしっかりとみんなと向き合えているんじゃないかなと思います」

―では、キャプテンになった時に描いていたキャプテン像とは?
「僕は、ずっと自分に厳しく、他人に厳しくというか、そういったチーム、そういった人間でないと結果は残せないと思っているんです。去年のキャプテンの鈴木惇志さんは、もちろん自分にも他人にも厳しい人なんですけど、チームとしての状況とか、流れの悪い状況でも明るくというか、それを楽しんで乗り越えていくというのをすごく感じていました。明るく乗り越えることでチームをまとめていけばと、自分の理想のキャプテンとして思っていました。でも、春からやってきて、分かったことは、理想と可能性は違うというか…例えば、体格とかのコンプレックスがあって、体格がごつくなりたいという理想を追い求めてたら、ここまでこられていなかったと思うし、理想よりも自分の可能性というか、ごつくなるよりもスピードで勝負だったり、誰よりも吸収する姿勢だったりっていう方にあるんじゃないかなと思って。本当はごつくなりたかったですけど、そっちの方を伸ばすしか生き残れないんじゃないかなと思って。それと一緒で、最初キャプテンとしてチームをはじめた時に、理想のキャプテン像はあって、それに振り回されちゃったんじゃないかなというのがあって。自分の可能性…伸びシロがそっちの方にはなかったのかなと。自分とは違うものを求めてたんで、時々自分に自信がなくなったり、すごく春は自分のスタンスを見つけきれずに悩んでしまったので。今は無理せずというか、自分らしさを見つけれたので、そこで頑張っているところです」

―その自分らしさとは何でしょうか?
「そう言われると、これっていう感じではないんですけど…僕は普段から、自分のプレイを上手くするためにいろいろ考えて、人よりも普段からバスケットについて考えていることが長いんじゃないかなと感じていて。それは食生活だったり、時間の使い方だったり、いろいろと気をつけて自分のプレイを高めようと意識していて、それっていうのは、あくまでも自分の実力を伸ばすためにやってきていて。自分のプレイに集中することがチームにとっても良いんじゃないかと思いますし、自分自身のプレイを向上させて、そのプレイで結果的に試合を勝ち抜くだったり、出てくるメンバーをまとめたりということがチームを上手く回すという上で大切な要素なんじゃないかなと気がついて、前はいろんなキャプテンとしての在り方というのに振り回されていたんじゃないかなと思います。結局は自分のことに集中できていなくて、周りに迷惑をかけてしまったんじゃないかなと思います。自分自身に集中をして、その姿勢をもって示すというのが今まで僕がバスケットでしてきたスタイルなので、最初思っていた理想像と合わせていけたらなというのはあります」

9月19日から関東大学バスケットボール大会が始まる。昨年、慶大は2部リーグから復帰し、2年ぶりに1部リーグの舞台での勝負である。リーグ戦を前にした意気込みや、チームについて聞いた。


―秋シーズンが集大成となりますが、どんなチームにしたいですか?
「チームというのに限定すると、春始めたころから変わらなくて、僕たちは理念を立てて実現しようと、春からやってきて、理想のチームは一人一人がチームの勝敗に責任を負うというのを考えて、誰が試合に出ても伸び伸びとプレイをして、その人たちのプレイで、出ていない人たちも全員が乗れるような、そういったチームは素晴らしいと感じているので、秋にリーグ戦、インカレとあるんですけど、勝ちに向かえるように、そういった土壌があるチームにしていきたいなと思っています」

――その実現のために、どのように周りに働きかけますか?
「一人一人が自立するだったり、自分のプレイを出せることは本来難しいことで、実際に僕が2年生の時に2部に落ちてしまって、チームの勝敗に責任を負っていない自分に気づいて、落ちるっていう大きな出来事があったからこそ気付かせてもらいました。苦しい場面を経験したからこそだと思うんですよ。夏の練習だったり、この合宿だったり、すごくきつくて、みんな精神的に疲れたりとかいう場面で、どれだけ自分に打ち勝って、いつも通りのプレイをできるかが結局、理想のチーム、理想の一人一人に近づけると思うので、そこの声かけ、チームの流れをみて、みんなが下を向いている時にはしっかりと言わなきゃいけないし、そういった流れをみて厳しいことも言えたり、声かけをしたり、そんなことしかできないですけどね(笑)」

―先生が今年のチームいついて「強いチーム」だと言っていたんですが、その実感はありますか?
「4年生だからか分からないんですけど、チームをみて安心するということはあまりないですね。特に、この秋に入っていろいろな経験をして、自分自身チームの流れを観て、厳しく言う時は言わなきゃいけないなという時には言ってということが分かって。安心するようなことはないんですけど、きつい練習の最後にインターバル走とかある時にみんなが進んで声を出して『行こうぜ!』と言って、苦しい時こそ声を出そう、みんなで乗り切ろうといった行動をとれる選手が増えてきて、そういったところを見ると強くなったんじゃないかなと思います。どんどん良い志向の方に向いてっているんじゃないかなと感じます」

―最後に、リーグ戦の初戦の東海との戦いに向けて意気込みをお願いします。
「チームとしては、やるべきことは変わらなくて。今までリーグ戦に向かってきつい練習をやってきて、それをどれだけ、自分たち自身がコントロールして、自分たちのプレイに集中できるかっていうのがカギだと思っています。走って慶應らしく戦って勝つというところがチームの目標じゃないかなと思います。個人的には、相手はでかいので、そこをおさえて1Qから走っていくしかないと思っています。慶應らしく勝ちたいです」

(2009年9月17日更新)
文 阪本梨紗子
写真 阪本梨紗子
取材 阪本梨紗子、金武幸宏、井熊里木