2年ぶりの代々木第二体育館でのリーグ戦スタートである。やはりバスケットボールの聖地ともいえる会場での試合となると迫力がある。久々の代々木第二体育館での試合、いつもより観客の入りが多いように思えた。連休中だったためか、それともバスケットをテーマにしたドラマの効果なのか定かではないが、観客が増えるのは嬉しいことだ。
さて、第1週目の対戦相手となった東海大。6月に行われたトーナメントで優勝を取り合った相手である。この時は、2点差で慶大が勝利した。何とか手にした勝利かと思われるかもしれないが、勝つべくして勝ったと言えるだろう。
「ここは自分たちで勝たなきゃいけないよねといって…最後の2分ぐらいタイミング良くタイムアウトをとってやれば12、3点くらい勝てたとは思う」と佐々木HCは話した。トーナメントでは、今年のスローガンである『自立から勝利へ』を実現できたと言えるだろう、東海大との戦いが始まった。

好調なスタート

 

初日に30得点を決めた♯7岩下
初日に30得点を決めた♯7岩下

長いリーグ戦に勢いをつける意味でも重要となってくる初戦。去年はノーマークの国士舘大相手にまさかの苦戦を強いられ、2部リーグの洗礼を浴びることとなった。今年はどうか。
序盤、慶大は♯16二ノ宮(3年・京北)のドライブや♯4田上(4年・筑紫が丘)の3Pシュートなどで得点を重ねる。対する東海大は慶大の堅いディフェンスに苦しみ、攻めきれないまま1Qを29-16で終えた。しかし、2Qに入り試合は動く。東海大は#5多嶋、#0満原の得点で点差を徐々に縮めてゆき、勢いを取り戻す。対する慶大も♯5小林(4年・福大大濠)のシュートなどで応戦。一進一退の攻防が続くも、3Q序盤には東海大#17前村の3Pシュートで2点差と詰め寄られる。しかし、この日の慶大はここから勝負強さを見せ付けた。♯5小林が3本のフリースローを沈めると、♯4田上は3Pシュートをバスケットカウントで決める4点プレイで一気に東海大を畳み掛ける。加えて前半目立たなかった♯7岩下が調子を取り戻し、次々と得点を奪取。慶大のトランジションゲームの前に東海大の足は止まり、3Q終了時点で79-60とした。4Qでも波に乗る慶大が付け入る隙を与えず試合は進む。♯14酒井(3年・福大大濠)、♯7岩下(3年・芝)のシュートが決まり、ディフェンスやリバウンドでも相手を圧倒。疲労感が漂い始めた東海大は、♯0満原や♯24古川がアウトサイドからのシュートで対抗するも単発に終わり、リズムを掴むことができない。最後まで手を緩めることなく試合をリードした慶大が104-77で勝利を飾った。

「最初から20点以上で勝つのがノルマだから。それを実践できるように。やってきたことを強い気持ちでやりましょうと。それくらいの力の差があると学生にも言ってある。・・・20点って言うのはバスケットでは実力差なんですよ。 比べた時に二ノ宮に勝てるガードはいないよね。岩下の高さに勝てるのはいないよね。大祐と酒井のシュートとかリバウンドにかなう奴は今のところ多分いないよね。田上みたいに落ち着いてやれるのもいないよね。 負ける要素がない。いくら考えても。 ただバックアップは負けてますけどね。だから、スターターがちゃんとやってくれればこれくらいの差で勝てる」(佐々木HC)

「今日はまあ先生がいろいろおっしゃっていたので、その通りできたのは良かったと思います。一人ひとりがちゃんと役割を果たしてこういう結果にくいなったと思うんで、継続してリーグ戦を通してやれば優勝も見えてくると思うんで、明日気引き締めてしっかりできればいいかなと。(ゴール下に関しては)こっちが守っているときに相手がそこまで集中してできなかったって言うのもあって。それを自分たちの実力で離せるところでしっかり離すっていう勝ち方をしないと、明日は無効も相当気合が入っていると思うし、マークとかも厳しくしてくると思うんで、3Qからを課題にしてやっていきたいと思います」(♯7岩下)

初戦は慶大の実力が如実に表れた一戦となったのではないだろうか。オフェンスでは各々が持ち味を発揮し、ディフェンスでも♯0満原や♯24古川といった東海大のエースプレイヤーを完全に抑えた。詰まるところ、慶大のトランジションの速さが東海大のハーフコートバスケットを完全に上回ったということ。そう断言しても差し支えないゲーム内容だったと言えるだろう。

粘り強さに課題

 

チームがピンチの時に「気持ち、気持ち」と声を掛ける♯4田上
チームがピンチの時に「気持ち、気持ち」と声を掛ける♯4田上

1日目は「慶應は今年の強い」と思わせてくれる一戦だったため、2日目も圧勝なのではないかと誰もが予想していたのではないだろうか。しかし、接戦の末に延長戦にまでもつれ込む混戦となったのだ。
2Qの序盤、31-18と慶大はどんどんリードを広げていったが、東海大も食い下がった。Q残り1分36秒、♯0満原のバスケットカウントで60-60、同点とした。その後も、♯0満原が3Pを決め、62-63で東海大リードで4Qを迎えることになった。4Q、慶大を苦しめたのは♯36養田だ。
「最後の最後は全部リバウンドでやられたんで、相手(チーム)の養田に立て続けにとられた」(♯7岩下)
アシスト、リバウンドと得点につながるプレイを次々と見せつけ、72‐79とリードを伸ばした。負けられない慶大も、♯5小林、♯14酒井、♯16二ノ宮らが得点を決め、東海大に食らいつく。残り32秒、♯14酒井からアシストパスを受けた♯7岩下がゴールを沈め、81‐81と同点に持ち込んだ。その後、♯17前村にフリースローのチャンスを与えるも、2本とも外し、同点のまま延長戦へもつれこんだ。延長戦は♯4田上の得点からのスタート。しかし、♯5多嶋の3Pシュートなどが次々と決まり90‐85、東海大リード、残り2分2秒のところで慶大はタイムアウト。タイムアウト後、♯16二ノ宮が得点を決めるも、♯24古川の3Pシュート、フリースローを許し、93‐99でリーグ戦は1勝1敗のスタートとなった。
「3Qでうちの得点が止まったので。昨日は1Qと3Qで結構入れることができたんですけど。そこがターニングポイントかなと。勝負どころでリバウンドとかルーズボールとか、小さい部分で東海のほうができてましたよね」(♯5小林)

昨年のリーグ戦第1週目の国士舘大とは1日目から接戦の上、延長戦へ。この時は慶大が粘り勝ちをした。今回は2日目ということもあり、スタミナが続かなかった末の一敗であったことは否めない。
「先発(選手)の力が落ちちゃったね。昨日ちょっとひっぱり過ぎたかな…スターターがどれほど持ちこたえられるかが課題」(佐々木HC)
第2週目の相手は、これまでに不動の地位を築いてき青山学院大である。しかし、東海大に27点リードした慶大が恐れる相手ではないだろう。
「入学してから一度も青学に勝ったことがないので、粘って粘って勝ちたいと思います」と♯7岩下が言うように2日間粘りぬける力と戦略がうまく発揮されれば、慶大の連勝は確実であろう。

文 阪本梨紗子、金武幸宏
写真 阪本梨紗子、金武幸宏
取材 阪本梨紗子、湯浅寛、金武幸宏、井熊里木