コロナ禍で騒がしかった2年。キャンパスでの学生生活は大きく損なわれ、今まで経験したことのない生活スタイルを迫られた慶大。塾内外で徐々に日常が戻りつつある今だからこそ、この2年間を振り返り、ウィズコロナに必要な塾生の心構えを共有するため、学生部に話を聞いた。

慶大では2021年4月、緊急事態宣言の発令に伴うキャンパス閉鎖をきっかけに始まったオンライン授業に対して、学生部がさまざまな支援を行った。ネットワーク環境が整っていない学生のための経済的支援、キャンパス閉鎖解除後にはオンライン自習室の設置など、変化した授業形態に塾生が馴染むための支援が行われた。授業形態一覧も掲出され、複雑な授業形態も理解しやすくなっていた。

2021年7月、伊藤塾長は「キャンパスを奪還する」と発言。学生たちにキャンパスに戻って来てもらうために検討を続けており、安心して勉強できる環境の提供に取り組むと学生部担当者はいう。その一方で、コロナ禍に潜んでいた、大学の情報発信のあり方を見直す必要性も見えてきたという。

塾生が期末テストの時間割変更に気づかないこともあった。コロナ禍により、学生部の窓口や対面での説明の場が活用できないことで、塾生の持つ情報量が不十分だったためだという。塾生サイトは外部に見られるために発信する情報は限定され、重要な情報はkeio.jpのニュースで発信されていた。しかし学期始めには大量のニュースが発信され、読み飛ばされるケースも多かった。新型コロナの感染が拡大するとともにニュースの量も増え、重要な情報が伝わっていなかったのではいかと学生部担当者は振り返る。重要な情報を正確に早く伝えることができるよう、今後は情報発信のやり方を改善していきたいと述べた。

そこで、逆に今後学生部が塾生に知らせたい情報はあるかについても聞いた。まずはコロナと向き合う私たち塾生の姿勢だ。先月の三田祭でも、固まって大声で騒いだり、マスクを外してハイタッチをするなど、感染対策が足りない部分が見えた。感染が再び拡大することを想定した姿勢で生活を送ってほしいという。

また、2022年度以降の授業履修に関して、「オンライン授業の修得上限は60単位」という点に気をつけてほしいという。これは、大学設置基準第25条2項等で規定されている。元から法律により、オンライン授業と対面授業は区分けされているが、コロナ禍により、塾生側が気づかないほどにその区切りが薄くなった。幸いなことに2020年と2021年には、コロナ禍による特例措置が採られているため、2年度間に修得したオンライン授業は除外される。しかし、今後修得するオンライン授業が60単位を超えないよう、とりわけ今の1・2年生は注意すべきだという。

柔軟性のある時間割が作れるなど、オンライン授業は効率も良いため、あまり対面授業の受講を増やしたくないという意見もアンケートに寄せられている。だが、本来通学制の大学という点からも対面での授業履修に向けて準備をしてもらいたいと学生部担当者は言う。「オンライン授業の修得上限」について、大学側は修得上限に引っ掛かる科目を明確に周知するだけでなく、履修申告の際に、警告メッセージを出すなどの対策を計画しているという。やむを得ない事情を持つ学生以外は対面授業を取ることが基本となるため、それにあたっての心構えが必要だ。

対面授業が増えるにつれて、食費や通学費が増えることについて負担を感じるという意見も寄せられた。また留学生の場合は、日本の水際対策により要請される高い隔離費用を負うことになる。だが、対面授業の教育効果や課外活動等のキャンパスライフを考えると、それによる諸問題は理解していただきたいと学生部担当者は述べる。そして、まだ春学期の具体的な方針は発表されていないが、塾長が「キャンパスを奪還する」と言ったように、できるだけキャンパスでの学生生活を楽しんでほしいという。

思いがけないコロナ禍が2年に及び続いたことから、今の1・2年生はコロナ禍前の大学生活を経験したことがない。対面での学生生活が減り、勉強量が増えることなどに不安を覚える人もいる。期末試験をやったこと自体がない学生も多い。とはいえ今は少しずつ、本来あるべき大学の姿は何か考える必要もある。今後についてはまだわからない点も多いが、ウィズコロナ及びニューノーマルの節目として受け止めれば、学生部と塾生がお互いの立場をもっと理解し合い、有益な大学生活を送ることができるようになるのではないか。

 

(パクテヨン)