
学年も変わり、三年生は就活を始める時期になった。しかし、中には就活の流れがあまり分からず困っている人も多いだろう。そこで今回、就活を終えた先輩方にインタビューをした。
①なぜその業界を志望したか/就活の軸は
②自身の就活スケジュール
③就活時に心がけていたこと
④大学生活でしてよかった・すればよかったこと
⑤その他
入社後の教育を重視 報道
①コロナ禍で様々な社会問題が顕在化した際に、社会問題を解決するために政治に働きかけるような仕事をしたいと思い、報道業界を志しました。また、塾生新聞会の活動をする中で、頑張っている人のことを伝えたいという思いも強くなりました。内定をいただいた中から今の会社を選んだのは、自分のキャリアプランを考慮し、教育が充実している点に惹かれたためです。
②3年の6月から、サマーインターンに応募し始めました。メディア系の会社のみ受け、4年の3月に内定を頂きました。
③実際に働いている人から話を聞くことです。採用側から見て魅力的に感じる点と自分がアピールしたいポイントが異なることがあるため、実際に働いている人に相談して意見をもらうべきです。実際に私は現役の記者の方に相談して志望理由のエピソードを変え、ESをブラッシュアップしていました。
④大学生活を通じていろいろな場所を訪れたことです。記者は現場に赴く仕事なので就活の際に説得力が生まれますし、現場に行く経験を通じて記者になりたいという気持ちが高まりました。また、サークルやゼミなどで信頼できる人間関係を築くことも大事だと思います。社会人になると、仕事の悩みなどを職場の人には相談できないので、会社以外のコミュニティの大切さを改めて感じます。特に記者は、地方勤務の場合、全く知り合いがいない中で働き始めるため、相談できる相手がいることは重要です。やればよかったことは自己分析です。自分のやりたいことだけではなく、向いていることも考慮して自己分析するとよいです。自分がやりたいこと、向いていることができる仕事は意外と幅広くあるので、視野を広く持って3年生の夏くらいまでは幅広い会社を受けるのがよいです。
⑤記者を目指して就活している友人がいたことでモチベーションは上がりましたが、周りと比べて落ち込むことも多かったです。周囲と比べずに自分の就活に集中するのが良いと思います。
何でもできる環境が強み 通信
①通信業界を志望したのは、事業基盤がしっかりしていて様々なことができるため。「通信」というよりも総合事業会社のようなイメージで、 、 金融、ヘルスケア、VRなど幅広い分野を手掛けているため、やりたいことが何でも一社の中でできます。そのうえ通信業界は「ホワイト」と呼ばれる傾向があり、ワークライフバランスを保つこともできます。コンテンツビジネスやデータ分析がしたい、という自身の就活軸に合ったため志望しました。
②3年生の6月頃に始めました。周りの友達が5月頃に就活を始めているのを見て、それが刺激になりました。このように就活への意識が高くモチベーションを向上させる環境であることは、慶大の良いところだと思います。最初は幅広い業界を見た上で、20人 ほどにOB訪問を行い、最終的に今の会社から内定を得ました。
③他の業界を志望している友達と情報共有することが大切でした。お互いに苦難を分かち合うことで就活による精神的負荷を和らげることにもなりました。インターンなどで獲得した早期内定は、いざという時のセーフティネットとして働いてくれました。安心を得ることで、その後の面接で自分のことを素直に伝えられるようになったと思います。
④何か一つのことに打ち込むことです。私の場合はサークルでしたが、何か一つにしっかり打ち込むと、自分の強みややりたいことの発見に繋がります。また、学生時代にもっと勉強すればよかったと思います。社会人になると読書に割く時間などはあまり取れません。しかし、働く中では基礎教養が求められる場面がしばしばあります。そうした教養を培っておくべきだったと思っています。
⑤慶大は就活をするのに非常に適した環境です。前述のように、周囲の意識が高いからです。3年の5・6月に就活を始めるのは慶大の中では一般的ですが、そうではない環境の方が多いです。また、OBOGがいろいろな企業にいるため話を聞きやすいという利点もあります。どんな雰囲気の会社か、選考をどう突破したか、といった話を聞けるのは大きいです。
自身の興味関心 熟考して 銀行
①私の祖父が銀行員で、銀行には興味がありました。法律に関心があったものの、受験生時代は得意科目を考えて理工学部に進学しました。元々はアナウンサー志望で、サークルは放送研究会に所属していましたが、テレビ離れが進んでいる現状を鑑み、原点に帰って自分の興味に近いところで就職したいと考えてこの業界を志望しました。
②3年4月から就活をスタートしました。元々志望していた放送業界はインターン選考の締切りが早いため、早くから就活を始める必要がありました。最初は放送業界を中心に受けていましたが、秋頃からは一般企業に移行し、様々な業界を手広く、通算150社ほど受けました。現在所属している銀行から内定を頂き、就活が終わったのは4年生の5月でした。
③初めから自分の確固たる軸を持って業界を絞るのではなく、片っ端から行くのも大事だと思います。私の場合、色々な会社にESを出して、様々な質問を受ける中で自分の軸が定まっていった節があります。また、面接での感触が悪かった後などは、クヨクヨせずに切り替えることが大切です。自分の根底を否定される様な余りにも厳しいことを面接で言われることもあります。そんな時は「きっとこの企業は潰れるだろう」くらいに思ってしまうと楽です。これは入行後に人事部の方に聞いたのですが、ESを書く際には結論ファーストで書き、主張をはっきりさせた書き方をすると、人事部に好印象を与えることができるそうです。
④一つ目は徹底的な自己分析です。サークル、ゼミなどでできた友人達から自分はどの様な人間なのかを積極的に聞いていました。人脈を広げることはとても大切です。彼らと交換ノートを作り、長所・短所をお互いに指摘し合って、自己分析をし合いました。二つ目は、自分の興味関心について考えることです。私は元々第一志望だった放送業界から業界を変更するとなった時、どの業界・会社にするのかかなり迷いました。浅くても良いので、様々な業界・会社にアンテナを張っておくのが肝心です。
⑤いわゆる「ガクチカ」には、家庭教師、塾講師、カフェのバイトでの経験を書きました。塾では小中学生の集団授業を担当しており、普段関わらない人と関わるのは大変でしたが、とてもやり甲斐あるものでした。また、私は浪人を経験していますが、就活において浪人が不利になることはほぼありません。寧ろ、物事に取り組む粘り強さがあるというアピールポイントになりました。
多様なスキル 身に付けるため コンサル
①規模の大きさと出来ることの多さという二軸でコンサル業界に注目しました。社会に出て最初に勤務する企業として実績のある会社を選ぶことで、自分が社会人として生きていくベースをしっかり学べると考えたからです。また、自身が文学部で学んできた分野とは異なるスキルが社会人には必要だと考えており、そもそも自分がどのような仕事をするべきなのか明確に分かっていなかったので、まずは多様な業界の方々と関わり幅広い仕事に取り組むことを目標にしていました。
②三年の四月に就活サイトへの登録を開始し、ITコンサルの中で業務の種類を研究し始めました。五月から六月にかけては様々な分野の説明会へ参加していましたが、サマーインターンの面接時にはほとんどITコンサルに絞っていました。サマーインターン参加者のみが受けられる早期選考の面接を経て、12月と1月に同会社のリスクマネージメントの部門から内定をいただき、最終的には専門性の高いサイバーセキュリティの部署に決めました。
③面接に落ちても気に病まないようにしていました。落ちるのは向いていないだけであって、それは良いことでも悪いことでもない。会社と自分が合っていないだけだと思うようにしていました。気持ちを引きずってしまうと面接は上手くいかないものだと思っていたので、この心がけは大事にしていました。面接や履歴書の対策としては、実際にコンサル業界で働いている先輩や業界で成功している方々から自分の見え方を聞き、客観的な自分像を知っていきました。
④学部専攻のゼミ長、二つのサークルの幹部を兼任していた経験を通して、自分に向いている活動の取り組み方を知ることができました。また、ガクチカは素で頑張ったことをアピールすることで、本音で語っていると面接官に強く伝わった気がします。サークル活動などの大学内の活動はもちろん、私生活の遊びでも良いので、全力で何かに取り組んでおくことが大切だと思いました。
⑤サマーインターンだけでなく、長期インターンを二年生の時から就活開始直前まで続けていました。インターンに参加することでその業界で働いている人達の様子が知れるので、自分との相性を考慮することができました。結果的に、コンサルではプロジェクトごとで業務に携わるため、人の流れが流動的という点が、自分のスタイルに合うということに気づけました。
自分に合う会社 いつか出会える Sier
①社会に貢献度の高い業界、会社を目指していたためSier(顧客の業務を分析し、課題解決に向けたコンサルティングからシステムの設計、開発、運用・保守までを請け負う企業のこと)を志望しました。どのようなサービス、企業にも必要不可欠な存在となっているITシステムを提供することは社会への貢献度が高い仕事であると考えました。また、大学時代に会計士の勉強をしていたため、財務経理職という形で採用されることを望んでおり、財務経理職の採用があるSierの会社に惹かれました。今の会社はSierの中でIT部門の売り上げが日本一で社会的な貢献度も高くなると考えました。また、財務経理職での採用があり、自分の貢献度も最大化できます。ワークライフバランスも充実していて、出社時の服装は自由だし、フルフレックスでテレワーク可能、働き方が自由であるという点も非常に魅力的でした。
②3年生の5月に始め、Sierとメーカーを中心に会社を受けていき、年内には一つの会社に内定をもらいました。4年生の春に今の会社に内定をもらいました。
③ たくさんの会社を受けること。世の中には本当にたくさんの会社があります。今第一志望の企業がある方も多いと思うが、それ以外にも素晴らしい会社はたくさんあります。私は実際に4年生の春に今の会社を受けましたが、これまで想定していたコンサルやメーカーよりも自分に合っていると感じました。一つの企業に落ちて落ち込みすぎず、諦めずに、視野を広げてどんどん挑戦していただけたらと思います。きっといつか、自分を必要としてくれる会社に出会えます。私も、私の周りにもそのような人がたくさんいました。
④ 早めに就活に向けて動きだしてよかったと思っています。3年の6月から就活を始めたので、慶大のなかでは早いほうではないが、年内に内定を一つもらうことができたのは大きかったです。そこからは気が楽になり、後はステップアップするだけだというマインドで就活を進めることができました。
やっておくべきだったと思うことはSPIなどの学力試験の対策です。対策しなくても全くできないわけではありませんが、対策している人とは差をつけられてしまうし、足きりに引っかかってしまう可能性もあります。
⑤ ガクチカとしてはサークルの代表として、参加率を上げるために下級生とコミュニケーションをとり、施策を考え、実行し、改善していったという取り組みを話しました。面接ではリーダーシップや信頼について聞かれたので、それらに対する自分の考えをまとめて面接に臨んでいました。会社の雰囲気を知るためには、説明会に出たり、ビズリーチキャンパスなどを利用したりして、慶大のOBにも慶大以外のOBにも話を聞いてみるとよいです。