【ひと、生きる】中村 宝子 何でやっているのかわからない

 今年5月の関東学生陸上競技対校選手権大会、女子400㍍で優勝を果たしたのが中村宝子さん(総2)。
 陸上を始めた理由は、あまりにも意外なものだった。「中学の時、休みが多かったのが陸上部だった」。しかし、次第にのめり込み、高校入学を機に真剣に向き合うようになる。
 06年高校総体で200㍍優勝(ジュニア日本新記録)、100㍍入賞。日本代表として出場したアジア大会では、200㍍5位入賞、4×100㍍リレー銀メダル獲得。これらの経験を踏まえ、「今の競技に対する姿勢は、高校時代につくられた」と話す。
 慶大競走部の門を叩いたのは、「誰かに決められるより、自分のやりたい種目に挑戦したいから」。競技者として、「やるからには、押しつけではなく、自分で責任をもって競技したい」という、強い思いを持っている。
 「走ることが好きなのか」という問いに対し、少し考えた後、彼女は答えた。「わからない。何でやっているのかわからないほど、競技のことしか考えていない気がする」
 大学卒業後、職業として競技を続ける意志は今のところないと話す。だからこそ、学生という限られた時間の中で、最大限の努力を競技に費やすつもりだ。
 「競技があって、生活がある」と言い切る彼女だが、「練習した後、甘いものを食べるのが楽しみ」、「(理想の男性像として)陸上をやってない人でもいい。自分があまりにもマニアだから、むしろ未経験者の方がいいかも」と話す姿は、普通の女子大生と変わらない。
 最後に、「生活の中心は競技だけでなく、勉強も付け加えておいてね」と、にこやかな笑顔を見せた。        (入澤綾子)
〈中村宝子〉
総合政策学部2年、体育会競走部所属。静岡県立浜松西高校卒。