喊声 2016年6月号

先月27日、オバマ米大統領が広島を訪れ、原爆死没慰霊碑に献花し黙祷を捧げた。17分に及ぶスピーチで「核なき世界」を訴え、自ら被爆者のもとへ歩み寄り彼らと固く抱擁する姿は、日米間の和解を象徴していたといえる。

たった一発の爆弾で10万人以上の命が失われたあの日から、71年の歳月が経過しようとしている。

世論は概ね肯定的だ。アメリカが誠意を見せた、核兵器の廃絶へ向けた着実な一歩だった、と評価する声が多い。一方で、苦しみを背負う被爆者の中には謝罪を求めた人もいた。世界で唯一核攻撃を行った国と、核攻撃を受けた国。今回の訪問は、核なき世界への意義深い1ページとなった。

だが、より具体的な取り組みが必要なのは言うまでもない。核はアメリカやロシアだけでなく、北朝鮮やインド、イスラエルなどにも広がっている。また、紛争の絶えない地域、例えば30万人もの死者が出ているシリア一帯に核が渡ったらどうなるだろう。現状は、気持ちだけではどうにもならない段階にある

核の脅威がない、平和な世界を実現するために何ができるか。核攻撃を受けた唯一の国の国民として、我々一人ひとりが考えていくべきではないだろうか。
(宗方怜)