喊声 2月号

日々の生活で疲れたり何かに思い悩んだりすることが誰しもあるだろう。そんな時、よく旅に出かける。目的地はない。具体的なプランもない。持ち物は少しばかりのお金、そして現代の利器。どこを目指すわけでもないあてのない旅。行き着いた先で地酒と地魚を食らい、活力を補給する。しかし、それもほんの束の間。旅が終わればまた元の都会の喧噪に身を委ねていく。だが旅立つ前に心の中にかかっていたモヤは不思議と晴れていることに気付く

▼「旅の過程にこそ価値はある」。故スティーブ・ジョブズが残した言葉だ

▼あれほど数々の偉大な功績を残したジョブズであるが彼は「過程は度外視、結果がすべて」という考えの持ち主では決してなかった

▼彼も何かに思い悩んだ時、目的もなく旅に出て彷徨い歩いていたのだろうか。そして旅先で己と対話し葛藤を重ねていたのだろうか

▼旅のお供である手の平サイズのあの利器がそうした過程を経て生まれたものだとすると感慨深い

▼人生というものは、しばしば旅に例えられることがある。今いる場所は果たして出発点かあるいは休息地点のあずま屋か。はたまた終着点なのか。だがここまでたどり着いたのならもはや何も恐れることはない

▼ここまで来るのは計画したプラン通りではなかったかもしれない。あるいは遠回りだったかもしれない

▼けれども彷徨い歩いたその先に一筋の光はきっと見える。心の中で鳴り止まない歓声をイメージしよう。掴み取るべきものはもう目の前にある。あとは手を伸ばしてそれを手に入れるだけだ。(川瀧研之介)