【こちら三田探偵事務所】KEIOボーイになりたくて……秋

せっかく慶應ボーイと呼ばれる立場になったのに彼女ができません。そもそも慶應ボーイらしさってなんですか?(経1男)

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私の☆助手席空いてますよぉ〜

「そんなのこっちが聞きてえよ!」と吠えたのは、ディスプレイの中ではプレイボーイな所員S(理2男)。「そういうことは気にしたら負けなんですよぉ。自然体が一番に決まってるんですよぉ」とぶつぶつ唱えるSを見かねた所長N(政3女)が一喝。「せっかくの機会なんだから文句垂れてないで依頼受けてみたらどうなの?こんなことでもないとあんた一生三次元にもどってこれないでしょ?」。うう、何も言い返せない。かくしてSの調査が始まった。

 

引き受けてみたはいいものの、彼女は二次元在住なだけあって何をしていいやらさっぱりわからない。とりあえず所員K(理2男)をつかまえて相談してみよう。コイツは同じ学部ということで所内では何かとSと比較されるが、キャンパスライフのリア充度では足元にも及ばない。「慶應ボーイらしさ?そんなん気にしたら負けっしょ。男はナチュラルでええやん」

こういうことは女子に聞いてみた方がいいかなと思いついたSは所員A(商2女)に「慶應ボーイって単語から連想するものってある?」と質問。「えーっ、慶應ボーイ?うーんそうだなー、あっそうだ、外車に乗ってそう!」

ガイシャ?そうかこれだ、これが足りなかったんだ!パンと膝を打って「ありがとう!」と叫んでSは飛び出した。

「というわけで、慶應ボーイらしさを出すにはこのアイテムがカギだという結論に至りましたぁ!」と乗ってきたベ●ツを降りて意気揚々と所員たちの前で報告するSは、サングラスをかけ胸元には赤いバラ。しかし服装はいつものチェックシャツのまんま、加えてなぜかバンダナを着け背負ったリュックにはポスターが刺さっている。あまりにアンバランスな出で立ちに絶句するしかない所員たち。

「どぉうですかぁ、少しは慶應ボーイっぽくなってないですかぁ」などと凍てついた空気にもどこ吹く風で調子に乗っているS。

そこにちょうど女子学生が通りがかったのを見たSは、「そこの僕のハートをを打ち抜いたエンジェル、コイツに乗って一緒にお台場までドライブしませんかぁ?」と無謀にもアタック。女子学生の顔は一瞬にして凍りつき、目も合わせずに退散していった。

「あれぇ、うまくいきませんでしたねぇ。硬派な子なんですかねぇ。…あ、時間だ!それではこれからコミケなので!ごきげんよう」とそのままの格好でSは初心者マーク付きのベンツを操り去っていく。「何もしなくても女子が寄ってくんのが真の慶應ボーイやろ」とその現場を傍目で見ていたKは、入学してから5人目となる彼女の手を引いて立ち去って行った。           (T‐T)