そろそろクリスマスも視野に入れて、彼氏をゲットしたいです。秋のモテ☆ファッションを教えてください!(商2女)


「イメチェンすればモテると思ってるやつ多すぎじゃない?」とぼやくのは、出会い求めて苦節21年、自称「日吉銀杏伝説の呪縛」で非リアな所長N(政3女)。

もちろんこの秋のトレンドファッションなど知るはずがない…と所員全員が予想した。そのとき、「この秋はレザーが来るのよね。トレンドカラーは黒。この依頼人、リサーチ足りないわね!」Nの口からまさかのモテ☆キーワードが。

実は来たる就活でのリク♡ラブに備えて、雑誌のモテテクを実践するのがNの日課となっていた。「仕方ないわね。世の中ロジカルストラテジーシンキングだってこと教えてあげないと!(意識高め)」

翌日現れたNのいで立ちは、トレンドカラーを最大限使った全身真っ黒コーディネート。できればそのまま隠遁してくれ…と所員に冷めた空気が広がる中、極めつけにNは自信のモテ♡アイテムを取り出した。「バッグは10年もののヴィンテージレザーじゃないと☆」

「やっぱりこのファッション、四方八方から注目の的ね!」キャンパスで注がれるNへの冷たい視線がヤバい。院校舎の2階からも失笑が降ってくる。

生協で会計中には、はるか向こうのパソコンフロアからひそひそ声が。めちゃくちゃ財布出しづらそうだし、買った韓国風焼肉丼はランドセルに入ってない。「ま、こんな時のために体育着袋があるのよね~」

突然の体育の授業にも対応♪

集まる視線とモテテクを意識しながら、Nは中庭でひとりランチ(通称、ぼっちめし)。 と、そのとき……「あの、Nさん、もし良かったら電話番号とメアドおしえてくれないかな?」

キ、キ、キターーーーーー!今こそこれまでの血のにじむ努力が報われる時。見上げるとそこにはゼミの同期A(政3男)。「な、何よ…Aってば普段ほとんど話しかけてこないのは、そういうことだったのね~!イケメンでモテそうなのに意外とシャイなんだ~☆」

出会いは生き別れの兄弟か、意外と近くにある。少女マンガの黄金律は真実だった……Nが日夜練習した「カレ受けする美文字」で連絡先を書き込むと、 Aは「ありがとう!」とだけ言い残し、ランドセルを横目に足早に去っていった。「も~、ほんとにシャイなんだから♡」

後日Nに残ったのは、身体に合わないランドセルを一日中背負って六本木まで繰り出したツケ―首・肩・背中の激痛―と、就活サイトリク○ビからの登録完了メールであった。      (キャンベル)