五十嵐氏、報道を論じる テレビと新聞の報道を比較

先月21日、メディア・コミュニケーション研究所公開講座「世界を報道する~新聞の伝え方、テレビの伝わり方」が日吉キャンパス来往舎で開かれた。講師として招かれたのは、朝日新聞編集委員で、テレビ朝日「報道ステーション」のコメンテーターも務める五十嵐浩司氏。主にニューヨーク支局長時代に起きた同時多発テロと、現地取材を重ねたアフリカ報道を軸に、報道のあり方が語られた。

演題でもある新聞とテレビの報道感覚について五十嵐氏は両者のアプローチの違いを比較するため、自身がレポーターとして出演した、テロを振り返る番組の映像を紹介。テレビが取り上げるテーマや構成などが新聞報道に携わってきた自分の発想とは違うことを説明し、狭くて深い新聞と広くて浅いテレビの両方の存在意義をcritical mass(普及率が一気に跳ね上がるための分岐点)と絡めて述べた。

さらに、ルワンダ大虐殺を扱った映画が米国で論議を呼んでいることを紹介した自身の記事を配布し、アフリカに対する国際社会の無関心さに言及した。内戦や虐殺の惨状を知っていても、日本人の関心が薄いために新聞で伝えたくても伝えられなかった経験を語り、日本の報道が内向きと称される原因の一つとして、こうした読者の姿勢を挙げた。

最後に、ジャーナリズムに大事なのは「継続、専門性、そして発信を続けること」とし、起きたことをすぐに発信することの重要性を説いた「the first rough draft of history」という言葉を紹介した。そして、「アフリカであれ、中東であれ、起きていることを発信出来る人を、どんどん生んでいきたいし、生まれていってほしい」と締めた。