小室経済学部長が登壇 福澤の経済理論を語る

 「福澤先生ウェーランド経済書記念講演会」が先月16日、三田キャンパス演説館で行われた。
 この講演会は、戦時中も学問教育を続けた福澤の建学の精神を、義塾の伝統として伝える目的で実施された。講演会前日の15日は、「福澤先生ウェーランド経済書講述記念日」に指定されている。
 本講演会では経済学部長である小室正紀教授が登壇。「福澤諭吉の経済論」と題して講演を行った。小室氏は数多くある福澤の経済論は、当時の時代状況に対して臨機応変に展開した結果であると話し、独立自尊の精神に基づいていると語った。
 小室教授は、福澤の経済論の軸は大きく分けて4つに体系化できると解説。1つ目は明治期において、経済の安定を早急に実現すること、2つ目は外債導入による景気刺激を行うことだとした。加えて農民所得を第一に考え、米の価格を調整すること、銀貨の下落を好機とし、経済活動を自由にすることが国内の経済成長に繋がるということを、3・4点目に挙げた。
 さらに小室教授は福澤の経済論の理想について、有効需要の創出と完全雇用の達成の2点を指摘。この2つは国民の自立を促すものであり、福澤の経済論の根底にある「独立自尊」の信念と合致するという。
 最後に小室教授は福澤の最終目標を表すものとして『学問のすゝめ』の中にある「一身独立して一国独立す」だと語り、国民全員が自らの知恵をもって独立して働くことこそが一国の独立と経済の循環に繋がると話した。この信念こそが有効需要を生み出し、完全雇用を可能にするのだと説明した。