慶大文学部を卒業後、筋肉アイドルとして一世を風靡。プロレスラーやボディービルダーとしても活躍した才木玲佳さん。出演した「お願いマッスル」のMVは2.7億回再生を突破した。2022年に代名詞でもあった筋肉を卒業し、現在はプログラミングやマラソンなどにも挑戦している。活動の原動力は「好奇心」だと語る才木さん。彼女の大学時代から今までに迫る。

本記事は、前編と後編の二部構成になっております。

 

「極める」ために覚悟と目標を決める

 

――物事を極めるコツはありますか。

ありきたりですけど、目標とタイムリミットを決めて、逆算することかな。例えば、筋肉アイドルをやっている時は、どれくらい筋肉を仕上げるという明確な目標は考えていなくて、日々のトレーニングが楽しいのとテレビで求められるからやっているって感じでした。でも、ボディビルの大会に出るって決めてからは、やることが明確になったし、タイムリミットもあるから、バリバリやる気も出ましたね。

芸能界に入った時もそうで、私は22歳で芸能界に入ったのですが、周りは子供の頃とか10代の早い頃から入っている人が多かったんです。私、遅咲のスタートで。だから、売れないままダラダラと活動を続けてくのも嫌だったので、3年のタイムリミットを決めたんです。25歳までやって、何も芽が出なければ潔く辞めて、就職なり次のキャリアを歩もうって思っていました。覚悟と目標を決めて、どんなキャラで売っていくかみたいなのを試行錯誤して。クイズやグルメ、商店街アイドルとかいろいろ考えました。そんな中で筋肉アイドルとしての道ができて。それで、芸能界に入って1年ぐらいでテレビに出させていただけました。タイムリミットを決めていたからこそ、絶対にこの期間で成し遂げてやるぞっていう覚悟が決まりましたね。

 

――芸能界でアイデンティティーに悩んだりすることはありますか。

それがまさに、筋肉が嫌になっちゃった理由で。そういう世界だから仕方ないんですけど、自分を少し曲げてでも話を盛るとか、こういうことをやっていたら取り上げてもらえるかな、みたいな考えになってしまって。自分の本音と乖離していくのが苦しくなってしまって、筋肉卒業に至ったんですよね。

 

――才木さんは他人の評価を気にすることはありますか。

昔はありましたね。でも、筋肉を鍛えてからなくなっていったように思います。当時は女の子なのにムキムキで気持ち悪いとか、変だとか批判の声があったんです。でも、私は鍛えている自分が好きだったし、鏡に映る自分がかっこいいって思っていたので気にならなかった!

それに、そういうマイナスなことを言う人もいるけど、応援してかっこいいって言ってくれる人もちゃんといるんです。なので、嫌なこと言う人ばかりに耳を傾けないで、応援してくれる人を大事にしようって思うようになりました。皆さんが生きていく中で、自分がやることを否定する人が出てくるかもしれません。もちろん、それを助言と捉えるのもありなんですけど、耳を傾けすぎないで、賛同してくれる人もいるよって思ってもらえるといいのかなと思います。

 

人生の正解や幸せは自分の中にしかない

 

――筋肉を卒業して2年ほど経ちましたが、変化はありましたか。

周りからは筋肉がなくなって寂しいとか、もったいないとかの声をいただくこともありますが、私自身はすごくスッキリしています。もちろん、続けていた方が筋肉関連のお仕事とかもあったとは思うんですが、それだけをやっていたら自分も苦しいし、そういう思いって見ている人にも伝わっちゃうので。

今は、ストレスなく毎日やりたいことやって、食べたいものが食べられて幸せです。私は甘いものが大好きなんですけど、筋肉キャラのときは甘いものはSNSに載せない方が良いかなとか、鶏ささみや胸肉の方が良いかなとか考えていたのが全てなくなりました。今は、自分には新しい可能性がまだまだたくさんあるなって思って、挑戦を続けているところです。新しいことをやりたいけど、なかなか1歩踏み出せない人の背中を押す存在になれれば嬉しいですね。

 

――最近はどのようなことに挑戦していますか。

たくさんありますね!たとえば、親善大使を務めている埼玉県久喜市で行われる久喜マラソンのゲストランナーに呼んでいただけたので、そこを目標に毎日のように走っています。タイムが上がったりと変化が見られて、楽しいです。

他にも、プログラミングもやっていて、自作システムの制作発表会を行ったりとか。プログラミングはパズルゲームみたいで、試行錯誤する感じがすごく楽しくて。講師の人にもエンジニアに向いてるって言ってもらえて嬉しいです。

あとは、少し前に宅建を取って、実務経験を積むべく勉強しているところなんです。最近は芸能活動より、社会人として働くことにすごく興味が出てきて。スタートアップの会社が集まるイベントにこっそり参加して、皆さんのプレゼンテーションを聞いて自分でもビジネスアイデアを考えてみたりしています。こういう芸能以外のことも楽しいですね。

 

――才木さんが新たな挑戦を続ける原動力はどこにありますか。

好奇心!やっぱり、未知のものや新たに何かを知ることって楽しくてワクワクします。だから、興味があってやりたいことは全部やりたいです。

それに、何事も経験してみないと自分が好きか嫌いか、得意か不得意かってわからないじゃないですか。なので、大学生の方にも、とにかくいろいろやってみてほしいです。挑戦してみてうまくいかなかったり、やりたくなかったりしたら、次にいけばいいし。やるって決めたからといって、貫き通さなきゃいけないわけじゃないと思うので。エジソンが「失敗はうまくいかない方法を発見しただけだ」って考えていたように、ただ自分が得意じゃない、嫌いっていうのがわかっただけ。だから、もう数打ってみましょう!数打ちゃ当たるです。私も、ヨガやピラティスとかちぎり絵とか、続かないものは山ほどありましたので。

 

――新入生や慶大生に向けて何かコメントをいただけますか。

とにかく、自分軸で選択を重ねてください。皆さんの正解や幸せって、自分の中にしか無いと思います。周りの人から何を言われたって、自分が納得してないならやらなくて良いし、自分がやりたければ全力でやって欲しい。判断の根本に自分を置くことを忘れないで、自分がした選択に責任を持って欲しいですね。自分の人生を生きるのは自分なので。

 

(藪優果)