12月3日・vs愛知学泉大 87-67
大会2日目、ベスト8が出揃った。16チームから一気に8チームに絞り込まれる。高校から社会人までが同じ舞台で戦う天皇杯全日本総合選手権大会への切符がかかっているのだ。つまり、4年生の引退が年内になるのか、正月に持ち越されるのか明暗が分かれるのだ。歓喜にあふれるチームもあれば、悔し涙を流すチームもある。
今日の試合こそ混戦を極めていた。関東5位の東海大と関東9位の明治大の一戦。格下の明治大には関東2部リーグの得点王、1試合に43点も獲得するスコアラー金丸晃輔がいる。試合は明治大が東海大を追う展開となった。4Qで明治大が4点差まで詰め寄ったものの、東海大がゴール下のオフェンスで粘り、85-76で東海大がベスト8に進んだ。
前回触れた天理大は、外からのシュートを連続成功するなどして、筑波大を突き放し勝利した。
そして、注目すべきは、関東4位の法政大を延長戦の末下した九州1位の鹿屋体育大学である。九州勢がベスト8に顔を出すのは珍しいことだ。2Qで鹿屋体育大が32得点を決めたところで、会場の誰もが注目する白熱した戦いとなった。延長戦、スタートから鹿屋体育大は3連続得点を決め、食らいつこうとする法政大から逃げ切り101-97でベスト8入りを果たした。鹿屋体育大は、これまでにベスト4を経験したことがない。準々決勝は東海大と。ここで東海大に勝ち、初のベスト4入りを目指してほしい。
慶大は前日、「理念の戦い」と佐々木ヘッドコーチが言っていた通り、まさに理念の違いが勝敗を分けた。トランジション(※)をしかけてオールコートに持ち込む慶大に対し、愛知学泉大はハーフコートでの試合を展開する。「理念の戦い」という意味では慶大の理念が目立った試合となった。しかし、後半のスタートが悪く、課題が残る試合になった。前日の試合(北海学園大戦)後に「30点差をつけて勝ちます」と佐々木ヘッドコーチは目標を掲げていたが、その目標に10点及ばず20点差でのフィニッシュであったことは、後半のスタートが全てだった。後半の入り、ハーフコートに対するディフェンスが機能せず、相手に立て続けに3ポイントシュートを許してしまった。結果、3Qで12-23と相手に得点を稼がせて、さらにオフェンスバランスが崩れるという悪循環に陥った。「後半の入りの練習は、3分間がんばろう、5分間がんばろうという風にやってきているんですよ。それができないのは、選手の考え方に甘さがある」と選手を一喝した。
「相手の持ち味である3ポイントを放り込まれてしまった。優勝を狙うにはそれはだめだと思います」(♯7岩下・芝・3年)
選手自身も修正点を自覚し、次のステップへ駒を進める姿勢が見られ、「田上が修正をやってくれるでしょう。修正、塾生の賢さに期待をしてください」と佐々木ヘッドコーチの言葉通り、次試合に期待したいところである。
この試合の課題を総括すると、相手の持ち味を出させてしまったことである。しかし、次試合以降からは、少しの気の緩みが致命傷になる相手ばかりだ。
「相手の持ち味を出させたら負けにつながると思うので、いかに相手のプレーをやらせないかということを心がけてディフェンスをやりたいと思います」(♯11酒井・福大大濠・3年)
予てからの課題であったディフェンス力が試される時なのかもしれない。3試合目はリーグ戦で2勝を勝ち取っている中央大。リーグ戦同様、センターの小野を止められるかどうかが勝敗を左右するだろう。
※トランジション:ディフェンスからオフェンス、またはオフェンスからディフェンスにと切り替わること。トランジションゲームは、その攻守の切り替えを速くすることである。
文:阪本梨紗子
写真:阪本梨紗子
取材:阪本梨紗子、湯浅寛
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