11月24日、三田祭のメインステージにて、慶應サイファー主催の早慶ラップバトルが開催された。出場するのは慶大と早大を代表する3人のMC。慶大のMCは全員が慶應サイファーに所属している。慶應サイファーは、時間が空いた時に集まって喫煙所などでラップをしている集団だ。その中から選抜されたMCのラップスキルは折り紙つきである。イベントの司会進行は慶應普通部中退のZEEBRA、審査員は東大中退の異色なMCであるダースレイダーが務めた。MCのシャウト 、先攻後攻を決めるジャンケン、DJのビートチェックが終わると、ついに戦いの火蓋は切られた。

早大は慶大学生の不祥事ネタを引き合いに出すなど、お互いに容赦のない痛烈なディスの応酬が繰り広げられた。一進一退の攻防が続いたが、結果は3回戦とも慶大が取ってストレート勝ち。ホームの意地を見せつけた。

バトル形式ではあるが、見どころはMCたちのスタイルウォーズなラップスキルである。ただの罵詈雑言でなく、押韻や巧みな言い回し、圧巻のビートアプローチで観客は大いに盛り上がった。大勢の聴衆を目の前にしても臆することなく己のスタンスを提示してくれたMCに敬意を表したい。

イベント後のインタビューにて、司会進行を務めたZEEBRAは、「フリースタイルラップは何も無くても楽しめる遊びなので、このような機会をきっかけに興味を持つ人が増えて、キャンパス内にどんどん広まっていったら嬉しい。そしてバトル(フリースタイルラップバトル)だけでなく音源(楽曲)まで持っていきたい」とヒップホップの今後に期待を寄せた。早慶ラップバトルという画期的な企画は大盛況のうちに幕を閉じたが、MCたちにとって本当の戦いはこれからだ。

(貫洞晴輝)