6月25日と7月2日に、2‌0‌1‌6年度文学部公開講座「文学部を体感する」の第1回と第2回が、三田キャンパス北館ホールで行われた。毎年テーマが異なる文学部公開講座だが、今年は文学部の多様性と可能性を五感で体感してほしいというコンセプトのもと行われている。

6‌月‌25‌日「文学をかなでる」

6月25日の第1回は「文学をかなでる」と題し、塾員でバイオリンニストである千住真理子氏と文学部仏文学専攻の荻野安奈教授が対談した。

二人三脚で自分を支えてくれ、文学少女であった母に影響されて文学部を選んだという千住氏。12歳でデビューし、小さい頃から当たり前のようにバイオリンを弾いていたが、成長するにつれ「音楽ってなんだろう」「音楽で感動するとはどういうことなのだろう」と考えるようになったことが、哲学専攻に進むきっかけになったと語った。哲学専攻を卒業した千住氏と作家としての顔も持つ荻野教授は、千住氏が自らの経験を通して感じた音楽が持つ文学性や哲学性について語り合った。

約10年ぶりであるという二人の対談は終始和やかな雰囲気で進み、対談の途中には千住氏が「アメイジンググレイス」を演奏し、会場は美しい音色に聞き入っていた。

7月2日「食文化と家族」

7月2日の第2回は「食文化と家族」と題し、文学部日本史学専攻の井奥成彦教授と福澤研究センターの西澤直子教授が登壇し、講演を行った。

日本における醤油醸造業発展の地域基盤について研究している井奥教授は日本食の要である醤油について語った。特に都道府県別の醤油生産量の分布やその種類など、地域に根差した醤油文化の多様性について言及した。

西澤教授は江戸から明治という二つの時代を生きた福澤諭吉先生による近代家族に対する考え方について語り、福澤先生の家族論が封建制度の因習を乗り越え自由恋愛の先駆けとなるものであったことを示した。

今年度文学部公開講座の最終回となる第3回は10月15日に行われる。「メディアのウラをかくワザ~映像をアートする~」と題し、塾員でFBS福岡放送の香月浩一氏と文学部社会学専攻の岡原正幸教授が講演を行う予定だ。