「普通」に生きたい。人は自分を周囲の人間と比べて引け目を感じ、時にそう願う。しかし「普通」への憧れは後悔を生む

▼挑戦にはいつも不安がつきまとう。「このまま突き進んだら失敗してしまうのではないか」。「この道に希望はないのでは」。希望がかなわないことのショックを避けるためにあえて「普通」の道を選び、特別な道から距離を置こうとすることもある

▼希望学者玄田有史は言う。「希望の多くは失望に変わる。しかし希望の修正を重ねることで、やりがいに出会える」と。冒険して自分が行きたい道へ進もうとする行為のほとんどは無意味に終わり、結局は安全な道へ戻ってしまうのが常だ。しかし無駄な行為に対して否定的になりすぎると、希望との思いがけない出会いもなくなっていく

▼トーマス・エジソンは「1000度の失敗をしたわけではない。1000のステップを経て電球が発明されたのだ」と語っている。恐れずに挑戦し続けることにこそ本当の意味がある

▼「普通」になろうと頑張る必要はない。周りと違うことを不安に思っても、未来の輝いている自分を信じれば自ずと道は開ける。人生ふりかえれば無駄なことなど、何もない。   (井上絵梨)