平成16年に設立された慶大グローバルセキュリティ研究所(以下G-SEC)。G-SECは学内外の研究ネットワークの構築と先端的学術研究の推進を目的としている。

身近な課題への問題意識
G-SECで取り上げられる研究課題は、科学技術とイノベーション、エネルギー、環境問題、安全保障、ヒューマン・セキュリティなど地球規模から個人の生活レベルまで幅広く、1つの学問だけの視点では解決できない。ここで必要になってくるのが、多角的視点から問題を捉えて取り扱う学際的な取り組みだ。
学内外の結節点として、学生や研究者に気付きを与えるため、G-SECはセミナー・シンポジウム・講演会を開催している。
それらはすべて無料で開講されており、塾生はもちろん他大学、社会人の受講も可能だ。副所長の田村次朗氏は、「多様化していくこれからの時代に合わせ、学部ごとの学習方法に風穴を開ける1つの研究所として貢献したい」と語る。
G-SECの具体的な活動について見ていくと、今力を入れている研究課題の1つに「復興リーダー会議」がある。
復興リーダー会議とは、短期的な支援活動を行うのではなく、東日本大震災からの復興を大学ならではの中長期的視点でとらえ、震災からの、そして日本の復興を支援しようという試みだ。平成24年に始まり3年間継続される予定である。
被災地という厳しい状況下でリーダーシップを発揮した人の経験は、複雑な問題がからみあう現代社会の問題を解決する糸口になるとG-SECは考える。
復興リーダー会議は被災地での支援活動で経験実績を積んだリーダーや、今後の復興を担う人々とお互いに復興に向けての議論や勉強会をすることで、G-SECが研究する問題に対し解決の糸口を模索しているのだ。
G-SECは塾内に限らず多くの人を対象に活動を行っているが、一番参加しやすいはずである塾生の中での認知度はあまり高くない。田村氏は、塾生に対し「ぜひ身の回りにある課題について学生に問題意識を持ってもらい、グローバルセキュリティ研究所の活動に全学部の学生、大学院生が積極的に参加するようになって欲しい」と言う。
この秋にG-SECでは、G-SEC Open Days2013と題してセミナー・シンポジウム・講演会を集中的に開催する。11月22日、23日に東京ミッドタウンで開催されるSFC Open Research Forumにも参加する。
この機会にG-SECの活動に参加し、現代社会が置かれているグローバルな問題について考えてみたらいかがだろう。
(岩田なな子)